11月3日に第64回全日本剣道選手権大会が行われ、神奈川県警の勝見洋介選手が優勝されました。

テレビで録画していたものやyoutubeにアップされている動画を見ましたが、反応力の高さが優勝という結果の1つ
の要因ではないかと感じました。

 

『テレビの生放送の中でも、しっかりと攻め込んでからの打突を意識して稽古をしてきた』 という解説がされて
いましたが、剣道においてしっかりと攻め込むということは、自分の打突のチャンスが得られると同時に、相手の打突
が十分に届く間合いに入るということでもあるので、非常に高いリスクが生じます。

それを承知でしっかり攻め込んでからの技を磨くというのは、絶対に日本一になるという気持ちの強さ、自分の技術
への自信、それだけのリスクを負わないと日本一には慣れないという覚悟などが必要だったのではないかと思います。
去年の準優勝から1年間、強い気持ちを持って稽古を積んでこられたのではないかと思いますが、その取り組みが
技術力だけではなく、強い勝負度胸を養ったと考えられます。

人間は、明確な意思を意識して思い浮かべて行動を継続すると、最初は意識ししなければ弱まってしまう意思も自然
に持てるようになります。
意識して行動を続けることで、脳にその意識を生む働きが強化されるからです。
そういう意味でも、勝見選手の取り組まれた稽古のテーマは、技術的な勝負強さだけでなく、精神的な勝負強さも
同時に養える内容だったのではないかと思います。

 

刺激の強さと質で鍛えられる反応力

さらにもう1つ脳の働きという観点から注目したい点があります。
それは、勝見選手の反応力の高さです。

反応というものは、脳が五感から受けた刺激をキャッチして、理想的な対処をするための脳の働きなのです。
この反応の精度が反応力なのですが、反応力は受けた刺激が強いほど高くなります。

刺激の強さとは、剣道で例えるなら相手の竹刀や身体が自分に向かってくるスピード、打突の前の圧力、こちらの予測
と違う動作、などによって決まります。

 

日本一を争うレベルになると、かなり高い反応力が求められるのですが、その反応力を養うには稽古環境が重要になります。
勝見選手のように、日本のトップレベルの選手が集まる神奈川県警、日本代表の合宿という稽古環境であれば、稽古相手
から受ける刺激は非常に高いものになります。

その環境の中で打たれることも覚悟して、しっかりと攻め込んでからの打突を磨くというのは、反応力を強化するという点
で非常に理に叶っています。

日本のトップレベルの選手から受ける攻めや打突の刺激は、本番の試合と同等の刺激であると同時に、自分からリスクを
負って攻め込むということで刺激による負荷を高めることになります。
そのため、より反応力も磨かれる可能性があるからです。

 

高いレベルになるほど、どのような負荷を自分に掛けてライバルに差をつけるかがスキルやフィジカルを向上させるポイント
になりますが、実はメンタルも同じです。
どのような方法、どのようなテーマで稽古をするかによって、脳が受ける負荷が違ってくるので、当然身に着く刺激に対
する反応や耐性も違ってきます。

勝見選手が優勝された要因はいくつもあると思いますが、しっかり攻め込んでからの打突を強化するというテーマは、反応力
というメンタル的要素を強化するには理に叶ったテーマだったので、優勝の要因だったのではないかと感じました。
また、勝見選手の打突が、反応力の高さを感じさせるものが多かったので、はっきりと剣道のスタイルにも表れているのでは
ないかと思います。

 

剣道はもちろん、他の競技でも脳にどのような刺激を与えると、どのような心理的要素が鍛えられるのかということをテーマ
に練習内容を考えてみると、競技の練習の中で自然とメンタル強化もできるので工夫してみて下さい。

 

 
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