間違ったイップス克服法

イップスをお克服するために抑えておいていただきたいことは、
『技術の問題ではない』
ということです。
技術に問題があるからイップスになっているわけではないので、
フォームを改善しようとしたり、力加減を調整しようとしても
上手くいきません。

むしろ、自分の本来のフォームを見失ったり、ボールを投げる、ラケットを振る、クラブを振るという動作に力が
入らなくなってしまいます。
イップスは、そもそも脳から筋肉への命令が上手く伝わらない状態なので、体の動かし方や力の入れ方を変えようと
しても、命令自体が正しく伝わらない状態なのです。

練習で克服できたと思っても再発する理由

イップスを克服するため、フォームを見直したり、力加減を変えようとしている人は、練習の時にはそれで克服が
できているように感じてしまうことがあります。
そもそも技術的に問題があってイップスになっているわけではないので、練習という試合とは違う条件の下では
イップスの症状が出ないからです。
そのため、練習中には克服できていると感じて試合に出てみると、やっぱりイップスの症状が出てしまうのです。
イップスは、通常の練習をこれまで通りやっても克服できるものではありません。
技術の問題ではないので、技術的な修正はもちろん、向上によって克服できるものではないのです。

イップスになってるということは、これまでとは違ってイップスになった時に生じるプレーを防ごうという意識
が働いている反面、頭の中ではそのプレーをイメージしてしまっています。
さらにイップスによって生じるプレーを考えると不安感と恐怖心が高まってしまうので、それによって筋肉の
働きが通常の動作とは逆の動作をしようとしてしまっている可能性があります。

イップスになっている時の筋肉の働き

通常、投げる、打つという動作は、腕を伸ばして目的に向って振るという動作です。
そして、その動作を行う時は【攻め】の気持ちになっています。
しかし、イップスになっている時は、同じ失敗をしないだろうかという不安感や失敗をすることへの恐怖心が
強くなっていて、筋肉が自分を【守る】ための働きをしようとしてしまいます。

それは、腕を曲げて自分の頭や心臓を守るためのガードの動きです。
この筋肉の働きが、本来の投げる、打つという動作の中にわずかにでも入ってしまうとその人の技術レベル
では考えられないようなパフォーマンスをしてしいます。
人間の脳は、不安感や恐怖心を感じていると、筋肉に自分を守るという命令を出さなければと思ってしまう
ので、本人の意思とは違った動きが生じてしまい投げる、打つという動作が狂ってしまうのです。

試合で現れるイメージと感情への対策が不可欠

イップスは技術の問題ではないということ、練習では克服できたと思っても試合の時に表れるイメージ、不安感と恐怖心への対策が
できていないと再発する、ということを念頭に置いた上で、克服のための取り組みを行うことが必要です。

その取り組みとは、以下の2つです。

・失敗のイメージを脳から追い出し、適切なイメージが表れるようなトレーニングを行う
・不安感や恐怖心を和らげて、すべきことに集中するためのトレーニングを行う

上記のトレーニングは、イメージトレーニングと感情のコントロールのトレーニングなのですが、私のところにイップスの相談に
来ていただいた方には内容を詳しくお伝えして実践していただいています。
競技レベルが高い人ほど、トレーニングに取り組む意識も高いため、早い段階でイップスを克服されています。

イップスは、技術的な問題ではないからこそ選手やその競技の指導者は練習の中で克服を目指そうとしますし、練習で上手くいって
いると大丈夫と思ってしまいがちですが、心理的な問題であるため突然再発してしまいます。
この事実をしっかりと受け止め、専門家のサポートを受けて克服を目指して頂くことが近道だと思います。

コラムニスト
氏名 衣川竜也
職業 メンタルトレーナー
所属 株式会社AXIA

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