なでしこジャパンがリオオリンピックの出場権を逃してしまってから1週間くらい経ちましたが、なでしこジャパン
に関するニュースはネット上で毎日みます。
ワールドカップ優勝から好成績を収め続けていたので、それだけ驚きがあるのでしょう。

ニュースを見ていると、負けたことは大きな出来事ですが、記事の内容は選手にも日常生活や選手としての
これからもあるのでもう少し配慮があればなと個人的には感じています。

話が少しそれてしまいましたが、今回書きたいことはあれだけの好成績を収めてきたチームが負けたことから
何か学べることがアスリートはもちろん、目的を持って生きている人たちにはあるのではないかということです。

 

 

澤選手の不在

オリンピック予選の大きな特徴は、実力でも精神的にもチームの大きな柱だった澤選手が引退した後だという点
だったと思います。

サッカーは、フィールドには1チーム11人が出場でき、控え選手も加えれば代表だと20名くらいになると
思います。
今回の代表も、ワールドカップで優勝した時のメンバーが多く残っていたので澤選手がいなくても実力的には
強いチームであったことは間違いないと思います。

主力選手が、ワールドカップの優勝から年齢を重ねていることを考慮するとフィジカルの面での数値は落ちて
いる部分も当然あると思いますが、戦術や苦難を乗り越える経験という面ではプラスの面も生まれていると
思います。

ただ、人間関係には相互作用という心理的な関係性があり、1人の人間が集団から抜けることで予想以上の
変化が生まれることもあります。
特に集団から抜けた人が、多くの人から信頼されるだけでなく、その人からの関わり合いが他の人に強い
心理的影響を与えていた場合、それは目に見えませんが時間が経つにつれて影響が表面化してきます。

アスリートは、他の職業よりも早い年齢での引退があるので仕方がないことなのですが、存在感の大きい人
が抜ける時には組織に何らかの影響は生まれてしまいます。

 

環境の変化

あと、澤選手の引退だけでなく、2011ワールドカップ優勝、2015ワールドカップ準優勝、ロンドン
オリンピック準優勝という躍進の中で、選手を取り巻く環境が激変したことも今回の結果につながっている
のではないかと思います。

男子のJリーグの場合、リーグの発展とともに注目も高まり、その中でワールドカップに出たり、海外で
成果を上げる選手が出たりという中で、まだワールドカップの入賞はありません。
今も徐々に期待が高まっているという段階だと思います。

それに対してなでしこジャパンは、優勝した大会の前の大会はグループリーグで敗退しているので、次の
大会での優勝はファンもマスコミも予測していなかった結果なのではないでしょうか。
そのため、今までアルバイトをしながら選手生活を送り、知名度も低かった選手たちの環境は一変したと
思います。
女子サッカー界の発展には、その環境の変化は望ましいものだと思いますが、選手一人一人の心に焦点を
当てた時、環境の変化に心が着いて行かない選手がいたり、優勝メンバーがどのようにして取り組んで
きたのかわからず、優勝後のマスコミを通じてのなでしこジャパンの印象を持っていない若手選手との
意識のギャップが生まれるなど、環境の変化が生み出した心理的課題は少なくなかったのではないかと
思います。

人間は、どうしても過去の経験に囚われるという性質を持っています。
この囚われは『守り』の意思が強くなった時ほど強くなります。
それは、人間が危機や不測の事態から身を守るためには、過去の経験を覚えておくことが必要だからです。

ワールドカップの優勝によって、チャレンジャーでい続けようという思いと同時に、期待を裏切るような
結果は出せないというプレッシャーも強くなったと思います。
人間は、大きな成果を上げて周囲からのイメージが変わるほどに、自分で自覚できている前向きな気持ち
とは裏腹に、無意識では他人が期待しているイメージを守ろうという『守り』の気持ちになってしまう
ものです。

大きな活躍が続く中で急激に変化していく環境とそれに着いて行かない心とそれにより生まれる組織の
不調和など、今回の結果に繋がっていたのではないかと思います。

 

 

心理的な課題への対応

上記はあくまで心理的な面から見た敗因ですので、サッカーの専門家から言わせると、もしかしたら
技術や体力面で劣っていたという見解があるかもしれません。
しかし、私がここで述べたかったことは、人が抜ける時に生まれる相互作用の変化と環境が激変する時
に生まれる心のズレを早い段階で気付き対処すること
がチーム運営では大切だということです。

サッカーだけでなく、チームの指揮官やコーチなどは、専門分野の戦術や技術の知識だけでなく、人が
集まってできているチームをまとめる以上は、心理的な知識を高めたり、心理面でのアドバイザーを
おいて、目に見えない心理的な課題への対処を果たい段階からおこなっていくことが必要だと思います。

 

今、ラグビーの日本代表が盛り上がっていますが、この盛り上がりの背景には環境の変化が起きているはず
なので、この盛り上がりをいい形で次につなげていってほしいと思います。

なでしこジャパンにしても、ワールドカップ優勝の後も結果を残し続けていたことを考えると、対処をしてきた
こともあるのだと思います。
その中での今回の結果だとしたら、これはさらに強くなり、本当に社会に女子サッカーの文化が根付くための
必要な課題が生まれたのかもしれません。

リオオリンピック予選の結果は残念でしたが、こういう状況を乗り越えてアスリートが活躍することが社会に
対する力のあるメッセージにもなると思います。

 

 

メンタルトレーニングのAXIA