元プロ野球選手の薬物依存、バドミントン選手の違法カジノの問題など、アスリートが競技以外の部分で人生を歪めてしまう出来事が続いて
いますが、そういう出来事から感じることはアスリートが幼少時代から大人になるまでに心のバランス感覚を養うことの必要性を感じます。

スポーツは、トップレベルになるには多くの時間、労力、資金を投資する必要があることは事実です。
やはりどんな世界でも人よりも上手くなったり、能力を高待っている背景には、時間、労力、資金などの投資量とある程度は比例する関係
にあるでしょう。

そのため、少年時代なら競技のために費やす時間のために勉強に費やす時間が少なくなったり、遊ぶ時間も削らないといけないということ
になります。
そうなると当然体験できること、体験から得られる心理的影響にも偏りが生まれます。

 

スポーツであれ、勉強であれ何かに打ち込む以上、偏りが生まれることは仕方がないことだと思いますが、心のバランス感覚が上手く育た
なくなってしまう要因には時間的な偏り以上に、偏りを生むために大人が子供に向けている価値観であると感じます。

例えば、費やす時間や労力が勉強よりもスポーツに偏ってしまうことはある程度は仕方がありませんが、親や指導者が
「スポーツに打ち込むなら勉強をしなくていい」
と言ってしまうと余っている時間を勉強に費やすという意識は弱くなってしまうこともあります。

心のバランス感覚を養うには、心の自由度と決断が重要なので、スポーツに多くの時間と労力を費やしていても余っている時間と労力を
何に費やすのかは本人が選択できることが望ましいのです。

長い人生で考えると、スポーツに打ち込むことも、勉強をして学力や勉強をする癖を身につけることも、遊ぶことでリラックスしたり
友達と打ち解けるということも、すべてが生きていくためのスキルを養ってくれるものだと言えます。

 

そのため、
「スポーツだけすればいい」、「勉強さえできればいい」、「遊ぶことは良くないことだ」
というような偏った価値観を示して子供を何かに打ち込ませることは心のバランス感覚の欠如につながるのでないかと感じます。

何かに打ち込む以上は、時間、労力、資金などの偏りが生まれることは当然であり、それは社会に出てからも何に何をどれだけ投資
するのかという課題に直面します。
だからこそ、子供に対して大人は、
「スポーツ、勉強、遊び、全て大切で、何にどれくらい時間を使うのかを良く考えて生活しなさい」
と伝えること、そのためのバランスを取るためのアドバイスなどの支援をしてあげることが大切だと思います。

 

本来は、子供の頃ほど選択の自由があり、自由がある中で大人の支援を受けながら自分の意思で決断していくということの繰り返し
が心に自信が芽生えるとともにバランス感覚も養っていきます。
大人は、子供に対してある意味での権力を持っているので、権力によって自由を奪ってしまっては子供が自由の中から自分の本心と
向き合い選択するという機会を奪うことになってしまいます。

スポーツでも勉強でも、大きな偏りの中でどちらかに打ち込んできた人の中に、能力は高いのに精神的な幼さを持っている人がいる
のは、子供から自由と決断の機会を奪ってしまったためであるのではないかと、スポーツに限らずさまざまな相談を受けている中で
感じます。

親ですら大人が子どもの人生の全ての責任を背負うことはできない以上、大人が無責任な偏りを子供に押し付けるべきではありません。
子供に対して何かを提案したり、とりあえず何か始めさせるということは支援として必要だと思いますが、子供の自我が強くなるにつれ、
子供の思いを丁寧に確認しながら、何にどれくらい時間を費やすのか、そのために何かを止めるのかどうか、新しく別のこともするのか
など、自分の意思と責任で選択させていくことが大切だと思います。

 

冒頭に書いたスポーツ選手の問題は、あくまで氷山の一角であり、同じような程度でなくても根本は同じ問題を抱えた人が他にもいる
でしょう。
そういうものを減らして行くためには、現状への対策だけでなく、今の子供達への関わり方の検討も必要になるのではないかと思います。
スポーツに真剣に向き合いつつも、スポーツ以外の自分の価値について考えたり、それを伸ばすための時間を作ったり、時には上手に
気分転換をしたりという選択ができる人が増えることも、過度なプレッシャーの中で戦う競技の世界だからこそ必要だと感じています。

自分にはある程度の自由があり、意志によってコントロールできるという感覚を持っていない人は、短絡的な快楽を求め依存症になり
やすい傾向があるので、子供の頃から自由を自覚してその中で責任を持って選択をする経験を積んでいくことが大切で、スポーツでも
勉強でも、何かに打ち込むことがその経験を摘んでしまうものにならないように大人が支援していくことが大切だと思います。

 

 

 

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