当社は、株式会社KEAN Healthと提携して、遺伝子検査「chatGENE(チャットジーン)」をアスリートのサポート方法として活用しています。
スポーツで高いパフォーマンスを発揮するためには、身体能力や技術だけでなく、集中力や判断力、感情のコントロールといった心理的な能力も重要です。
しかし、自分の心理的傾向は目に見えるものではないので、メンタルを強化したいと思うと今感じていることや過去の体験をもとに手探りで行っていくしかありません。
そこで役立つのが遺伝子検査によって得ることができる遺伝情報です。
遺伝情報から分析できるスポーツに関する4つの心理的傾向
chatGENEは、400項目の遺伝情報を取得することができますが、その情報からアスリート専用レポートを作成することができ、当社は通常の遺伝子検査とアスリート用レポートの提供を行っています。
アスリート用レポートには、競技に関係する12項目の遺伝情報とそれに対するアドバイスが書かれているのです、メンタルに関する4つの項目を紹介したいと思います。
※紹介している内容は、現時点での能力ではなく、遺伝的な特徴だとご理解ください。
判断力・集中力とドーパミンに関係する遺伝情報

遺伝情報から明らかになる心理的傾向の1つ目は、アスリートの判断力・集中力です。
これは2つの項目をもとに判断されています。
- ドーパミン分解:中
- ドーパミン感受性:低
ドーパミンの分解や受容体の働きに関係する遺伝子には個人差があり、注意機能や認知機能との関連が研究されています。
この情報を知るメリット
この遺伝情報は、自分がどのような条件で集中しやすいのかを考えるきっかけになります。
例えば、試合前に周囲の刺激を減らした方が集中できる選手もいれば、音楽を聴いたり、身体を動かしたりすることで競技に意識を向けやすくなる選手もいます。
遺伝情報を参考にしながら、実際の練習や試合での反応を観察することで、自分に合った集中方法を探ることができます。
メンタルトレーニングへの活用例
- 試合前に集中力が高まるルーティンを検証する
- 注意が散漫になる場面や環境を把握する
- 判断力が低下する状況を振り返る
- 集中状態に入りやすい準備方法を確立する
重要なのは、遺伝情報によって集中方法を決めつけるのではなく、実際のパフォーマンスを確認しながら、自分に合う方法を見つけることです。
2.カフェインによる集中力や覚醒と遺伝情報

遺伝情報から明らかになる心理的傾向の1つ目は、カフェインによる集中力や覚醒です。
試合や練習の前に、コーヒーやエナジードリンクなどからカフェインを摂取するアスリートもいます。
カフェインには覚醒度を高め、眠気や疲労感を軽減する作用があり、条件によってはスポーツパフォーマンスの向上にも役立つことが研究されています。
これは2つの項目をもとに判断されています。
- カフェイン分解:中
- カフェイン感受性:中
カフェインの代謝には主にCYP1A2という酵素が関与しており、関連する遺伝的な違いがカフェインの代謝や作用の個人差に関係する可能性があります。
この結果は、カフェインをパフォーマンスアップに活用する手掛かりとなります。
ただし、実際の反応には摂取量、日常的な摂取習慣、睡眠状態、服薬状況なども影響します。
この情報を知るメリット
カフェインは適切に活用すれば競技の助けになる可能性がありますが、摂取しすぎると不安感、動悸、睡眠への悪影響などが生じる場合があります。
特に、試合前に強い緊張を感じやすい選手では、カフェインによる覚醒が必ずしも望ましいとは限りません。
そのため、自分の体質や反応を理解し、カフェインの使用について慎重に考えることが重要です。
メンタルトレーニングへの活用例
- カフェイン摂取時の集中力や身体反応を記録する
- 緊張が強い場面での摂取の必要性を検討する
- 睡眠への影響を確認する
- 試合前の覚醒状態を整える方法を検討する
カフェインに頼るだけでなく、呼吸法やウォーミングアップ、試合前のルーティンなどを組み合わせて、適切な心理状態を作ることが大切です。
3.リスクテイク行動と遺伝情報
遺伝情報から明らかになる心理的傾向の3つ目は、リスクテイク行動です。
これは、危険性を理解したうえであえてリスクのある選択やプレーを行う行動を指します。
例えば、野球の盗塁、サッカーのドリブル突破、バスケットボールのシュート選択など、成功するかどうかわからない状況で決断しなければならない場面があります。
このような、不確実な結果を伴う選択をする行動が「リスクテイク行動」です。
上記のレポート結果では、リスクテイクの遺伝的傾向が「中」と分類されています。
リスクを取る行動には遺伝的要因が一定程度関係していることが、大規模な遺伝学研究でも報告されています。
実際にどの程度リスクを取るかは、経験や学習、状況の認識、競技特性などによっても変化しますが、遺伝情報から自分の基本的な傾向を知ることができます。
この情報を知るメリット
リスクテイクについて考える際に重要なのは、積極性が高いことが必ずしも優れているわけではないという点です。
スポーツでは、積極的な判断が必要な場面もあれば、リスクを避けることが適切な場面もあります。
優れた選手に求められるのは、状況に応じて適切な判断ができることです。
例えば、失敗を恐れて消極的になりやすい選手であれば、失敗に対する認識を見直したり、判断に自信を持つためのトレーニングが役立つ場合があります。
反対に、衝動的な判断が多い選手であれば、状況を整理してから行動する習慣が必要かもしれません。
メンタルトレーニングへの活用例
- 積極的な判断と無謀な判断の違いを整理する
- 失敗への恐怖が意思決定に与える影響を確認する
- 試合中の判断基準を明確にする
- 状況に応じてリスクを取る練習を行う
遺伝情報を一つの参考材料として、自分の意思決定の特徴を理解することが、競技中の判断力を磨くきっかけになります。
4.外向性・神経症傾向と遺伝情報

遺伝情報から明らかになる心理的傾向の3つ目は、メンタル(外向性、神経症傾向)です。
メンタルトレーニングに取り組む上で、アスリートが自分の性格傾向を理解することも重要です。
例えば、人との交流によって気分が高まりやすい選手もいれば、一人で静かに過ごすことで落ち着く選手もいます。
また、試合前のプレッシャーに対する感じ方や、失敗した後の感情の動き方にも個人差があります。
こうした性格の違いを理解する際に参考になるのが、心理学で広く研究されている「Big Five(ビッグファイブ)」という性格特性モデルです。
この心理的傾向は、次の2つをもとに分析しています。
- 外向性:高
- 神経症傾向:高
外向性は、社交性や活動性、刺激を求める傾向などと関連する性格特性です。
神経症傾向は、不安や心配、怒りなどのネガティブな感情を経験しやすい傾向と関連します。
これらの性格特性には遺伝的要因が関係していることが研究されています。
遺伝子検査による分類は、心理検査で測定される現在の性格そのものではありません。
実際の性格特性を把握するには、妥当性が検証された心理検査や本人への聞き取りなどを組み合わせることが重要です。
この情報を知るメリット
性格特性を理解することは、自分に合った心理的な準備方法やストレスへの対処方法を考える手掛かりになります。
例えば、外向性が高い選手であっても、試合前には一人で集中する時間が必要な場合があります。
また、神経症傾向が高いことは、必ずしも競技に不利であることを意味しません。
不安を感じやすい選手でも、その感情に適切に対処し、競技に必要な行動へ注意を向けることができれば、十分に高いパフォーマンスを発揮できます。
メンタルトレーニングへの活用例
- 試合前の不安や緊張への対処方法を身につける
- 自分に合った心理的な準備環境を見つける
- 感情の変化に気づき、適切に対処する
- 性格特性を踏まえて指導者とのコミュニケーションを工夫する
性格を無理に変えようとするのではなく、自分の特徴を理解し、それを競技に活かせるようになることが重要です。
遺伝子検査をメンタルトレーニングに取り入れるメリット
ここまで紹介した4つの項目には、それぞれ異なる特徴があります。
| 検査項目 | 活用を検討できるテーマ |
|---|---|
| ドーパミン関連 | 集中力・注意力・試合前の準備 |
| カフェイン関連 | 覚醒状態・摂取習慣・睡眠 |
| リスクテイク | 意思決定・積極性・失敗への対処 |
| 外向性・神経症傾向 | 性格理解・感情調整・ストレス対処 |
これらの情報を知る最大のメリットは、自分自身を理解するための視点が増えることです。
一般的なアスリートに対するメンタルサポートでは、心理検査や面談、競技中の行動観察などを通じて選手の特徴を把握して行います。
そこに遺伝情報という新しい視点を加えることで、これまでよりもアスリートの自己理解を深めること、成長の方向性を見出すことが可能になります。
遺伝情報だけに固執することは望ましくありませんが、遺伝情報を手掛かりにアスリートの体験を確認することで、メンタル強化の取り組みの質を高めることができると感じています。
遺伝情報は可能性を決めるものではなく、自己理解の手掛かり
遺伝子検査を活用する際に、最も大切にしたいことがあります。
それは、遺伝情報によって選手の能力や可能性を決めつけないことです。
集中力、判断力、感情のコントロールなどは、遺伝的な要因だけで決まるものではありません。
練習や経験、環境、生活習慣、心理的なスキルの習得など、多くの要因が関係しています。
例えば、集中力に関係する遺伝的特徴があったとしても、それだけで集中力が高いか低いかを判断することはできません。
また、不安を感じやすい傾向があったとしても、心理的なスキルを身につけることで、不安に適切に対処できるようになる可能性があります。
スポーツのメンタルトレーニングで重要なのは、自分の特徴を理解したうえで、競技に必要な心理的能力を育てていくことです。
遺伝子検査を自分に合ったメンタル強化の取り組みに
この記事では、遺伝子検査で調べられる項目の中から、スポーツのメンタルトレーニングに関係する4つの情報を紹介しました。
遺伝子検査で得られる情報は、自分の特徴を考えるための一つの材料です。
そして、その情報を実際の競技生活に活かすためには、心理学的な知識やトレーニングの経験、日々の行動の振り返りが欠かせません。
大切なのは「自分にはどのような遺伝的特徴があるのか」を確認して終わりにするのではなく、「自分はどのような場面で力を発揮しやすいのか」「どのような取り組みが自分に合っているのか」を考え、実践することです。
遺伝情報をもとに作成できるアスリート用レポートは有益な情報得るための手段です。
この情報を取得することで、自分の取り組みの質を良くすることが、競技力を高めることにつながります。
遺伝子検査とアスリート用レポートについてもっと知りたい、自分も受けてみたいという方は以下のリンク先のページをご確認ください。
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