昨晩は、2大会ぶりに日本代表がワールドカップの決勝トーナメントへの進出が決まりました。
個人的には、良かったなと思うし、日本人として嬉しく思います。
しかし、ネットのニュースを見ていると賛否両論で、いろんな意見があるみたいですね。
ネットニュースやTwitterなどに書かれている反応を見ていると、昨日の日本代表の試合に対して理解を示している人は下記のような点に焦点が当たっているのかなと思います。
- ワールドカップで勝ち抜くには勝負に徹することが必要
- 予選を勝ち抜いてきたチームでリーグ戦をして2位までに入るのは難しいことだ
- ルールを守った上で行ったこと
- 日本の決勝トーナメントでの試合が見れるのが嬉しい
- ワールドカップで戦うには凄い努力を要するし、選手たちはそれができる人達だ
他にもあるでしょうが、概ね昨日の試合に理解を示している人は上記のような思いを持っているのではないかと思いますし、私もそう思っています。
批判的な意見を持っている人の中には、上記のようなことをわかっているという人もおられると思いますが、その上で下記のような思いから残念だという気持ちが強くなっているのではないかと思います。
- スポーツはお互いが持っている力をぶつけ合うことに価値がある
- 攻める試合、点を取る試合が見たかった
- ワールドカップなのだから最高峰のプレーが見たい
- 強い母国の試合が見たい
- 期待して応援していた
言葉としては、『卑怯』、『誇りがない』、『情けない』などの批判的な意見が出ていますが、基本的には期待していたものと違って『残念』という感情があり、その感情が怒りや失望などに変わって、意見として現れているように感じます。
プロスポーツ、世界最高峰の舞台を見るということは、良い試合が見たいと思うだろうし、お金を払って現地に応援に行ったり、会場で見ている人たちは、もっとアグレッシブで興奮する試合が見たい思うのは当然でしょう。
しかし、ワールドカップの舞台に立つには並大抵の努力で成し遂げられることではないし、リーグ戦を突破できたということは、強さも持っているという証明でもあるので、『卑怯』、『誇りがない』、『情けない』という批判をすると、そんなことはないという批判に対する批判も生まれます。
『残念だ』、『積極的な試合が見たかった』、『点を取って欲しかった』、『負けずにリーグ戦を突破してほしかった』という感情を表現すれば、それは批判できるものではなく、その人が感じた率直な意見なので、その感情に対しては共感できる人も多いように思います。
自分の感情と存在価値を分けて考える
サッカーの試合に限ったことではありませんが、自分の感情を表現するために、感情が生まれたことに影響を与えた対象の存在価値を否定したり、卑下する必要はありません。
自分が応援する、期待する対象となるものは、自分の感情を満足させてくれないこともあるかもしれませんが、対象の存在価値を否定したり、卑下しても自分の感情は誰かに理解してもらうこともできず、整理することもできません。
『残念』、『悲しい』、『悔しい』、『辛い』、『寂しい』など、素直な感情を出せば他人には自分がどう思っているか伝わるし、理解を示してくれることもあるでしょう。
場合によっては、別の機会に期待に応えようとしてくれることもあると思います。
また、自分の感情を素直に言葉にすることで、自分がどう感じていたのかが自覚できて感情の整理もできます。
昨日の試合を見た時にどんな評価をしていたかを振り返ると、自分が普段の人間関係や出来事をどのように評価しているのかということに気づけるかもしれません。
自分の感情を相手への評価に変えてしまう癖があると、人間関係でも摩擦が生まれやすくなるので、もしそんな癖があるのなら感情を丁寧に表現するようにすると良いかもしれません。
スポーツは結果や内容が保障されていないから面白い
話は少しそれましたが、今回のような賛否両論が起きること自体が、多くの人がサッカー日本代表に関心を持って、期待をして見ているということだという証明になっていると感じたということを書いて記事を閉めたいと思います。
サッカーも他のスポーツも勝負事だからこそ、結果も内容も保障されていないわけで、勝つか負けるか、良い試合になるのか、面白くない試合になるのかわからないからこそ、応援する側も期待と不安を持って試合を見るのではないでしょうか。
期待と不安というアンバランスな状態で関心が持てるからこそ、多くの人が引き付けられるのがスポーツです。
ワールドカップが良い例で、期待も不安も大きいからこそ、関心を持つ人の数も多くなるというのがファン心理とスポーツの盛り上がり度合いの関係です。
期待と不安が共存している不安定な心理状態から、期待が満たされた時に起きる不安定な心理状態からの解放が、また同じ体験をしたいとファンに思わせるメカニズムです。
そのため、期待が満たされない時は不快な感情になるので、その感情が否定や批判となって選手や監督に向けられるのです。
これだけ1つの試合内容で賛否両論が起きるのは、それだけ強い関心を持っている人が多いということであり、そこにスポーツのいろいろな可能性を感じます。
また、選手達が予選を勝ち上がって、母国を期待と不安を持って応援する機会を作ってもらえているだけでも素晴らしいことで、世界規模の大会で勝負をするというのは誰もが体験できないことだからこそ、応援するという形でも期待と不安を持って関わることができることにスポーツの価値があると思います。
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