周囲の人の目、評価を気にすると力が発揮できなくなる

スポーツで「パフォーマンスが急に低下した」、「力が発揮できなくなった」ということで相談に来られる方の中には小学5年生から中学3年生くらいまでのジュニアアスリートの割合が非常に多いです。
ジュニアアスリートで、力が発揮できなくなったという相談を受けていて、子供たちに共通していると言えることは思春期に入り周囲の人の目、評価を気にするようになったという点です。

 

思春期を迎えるということは、精神的に大人になり始めているということであり、社会性を身に付けていくための準備としての時期でもあるのですが、この年齢に差し掛かるとスポーツに関してだけでなく、日常の生活の中でも周囲の人の目、評価が気になり始めます。
この感覚には、時期や程度には個人差がありますが、人によってはスポーツのパフォーマンスに明らかな影響が出る程度で周囲の人の目、評価が気になってしまうということもあります。

思春期に身につく第四者という意識

思春期は、他人との関係を意識する感覚に変化が生じる時期でもあります。

人間は、赤ちゃんの時は二者関係しか意識できていないと言われています。
これは自分と母親との関係です。
赤ちゃんが生きていくために一番重要な人間関係が母親との関係なので、その関係をしっかり築けるようになることが他の誰との関係よりも優先されます。

母親との関係の次に、父親を交えた三者関係が築けるようになります。
これは、信頼ができる複数の他人との関係の最小単位が3ということになるのですが、子供はこの三者関係を応用して人間関係を築いていきます。
例えば、小学低学年の頃にクラスメイト全員を友達だと思えるのは、三者関係の延長線上にクラスメイト全員を含めているからです。

しかし、思春期を迎えるくらいになると、子供の意識の中に第四者という認識が芽生えます。
これは、信頼関係が十分に築けていない他人や存在を認識しているだけの他人などを含む他人のことなのですが、他人の目や評価を意識する時の【他人】が、この第四者にあたるのです。

一番気になるのは第四者の視線と評価

思春期になると、人間の心の成長過程として第四者を意識するようになり、個人差はありますが第四者の目や評価が気になるようになってしまい、スポーツの場合は試合中の動きが悪くなってしまうということが起きるのです。

思春期になると、“自分自身にレッテルを貼る”ようになり、そのレッテルの評価を第四者が自分に向けていると思いこんでしまいます。
活躍して注目を集めるほど、第四者が自分に興味を持ち、期待をするようになるということは起きるのですが、本人が思っているほど他人からの関心は強くないので気にすることはないのですが、気にしてしまうと試合で上手く体が動かなくなってしまうということが起きてしまいます。

思春期のスランプを抜け出すための心の成長

思春期に第四者の視線と評価を気にしてスランプになった場合、それを克服するためには心を成長させることが必要になります。
心が成長することで、他人の視線や評価がどうであれ自分の価値をしっかりと認識して、周囲に惑わされないようになるとスランプから抜け出します。

心の成長は、自分を評価する軸を他者からの評価を通じたものよりも、自分の体験と変化を基準にしたものに変えていくということでもあります。
また、自分の活動の動機が、他者からの評価や結果という外的動機だけでなく、競技を行うこと自体が報酬と感じられる内的動機の割合が多くなることも心の成長の要素です。

これらの変化が、競技に取り組む中で指導者や親からのサポーとによって促されること、または自問自答しながら答えを見つける中で促されることが、思春期のスランプを抜け出すために望ましいと言えます。

メンタルトレーナーがサポートをする場合は、コーチングという形で上記のような成長を促していきます。
思春期は、周囲の評価を気にするという成長が早い子供ほどスランプに陥る傾向があるので、そのタイミングで大きく成績が落ちる子供は、自信の喪失を防ぐため、自分の心理的特徴と上手く付き合えるようになるためにメンタルトレーナーのサポートを受けることは有益です。


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