試合の当日が近づくにつれ、心の中に不安や迷い浮かんできて心が苦しくなるということがあると思います。
中には、その苦しさから情緒不安定になってしまうアスリートもいます。
このようなことは、決して試合経験の浅い未熟な選手だけがなるのではなく、オリンピックや世界選手権に出場するような選手にも起ることです。
特にオリンピックは、他の大会に比べて国内でも注目する人が多いため、不安感や迷いに心を襲われて精神状態が不安定になってしまう人は多いようです。
不安や迷いを感じやすい人に知っておいて頂たいのは、そのような感情が生まれやすいからメンタルが弱いということではないということです。
自分が大切に思っている試合や多くの人が注目する試合ほど、プレッシャーがかかるのは当然です。
そして、プレッシャーによって不安や迷いが生じるのも、心の自然な働きです。
不安や迷いへの囚われが心のバランスを崩す
試合前のアスリートにとって怖いことは、試合が近づくにつれて不安や迷いが生まれてくること自体が問なのではなく、それに心が囚われ続けてしまうことです。
プレッシャーを感じている自分をメンタルが弱いと否定しまうと、不安や迷いに対して自分は無力なのだと決めてしまっているようなものなので、心の中でどんどん湧き上がってくる不安や迷いに心が疲弊してパニックに近い状態に陥ってしまうこともあります。a
大切なことは、自分の心の中に生まれてくる不安や迷いを感じつつも、自分の願っていることを意識的に心の中で繰り返して唱えることです。
場合によっては、声に出してもいいでしょう。
例えば、オリンピックで金メダルを取ることが自分の目的であり、願いであるなら、『オリンピックで金メダルを取りたい』と何度も何度も唱えて、自分が願っていることを強く自覚するのです。
人間の感情は試合前という刺激に対して自然に生じてしまうもので、それが生じることは不可抗力です。
しかし、自分の願っていることを思い出し、心の中で唱えるというのは、自分の意志によって行うことです。
コントロールできるものに意識を向ける
人間の心は、コントロール出来ることと出来ないことがあります。
試合で精神的なことが原因で力が発揮できない人は、コントロールできないことを無理にコントロールしようとしている傾向があります。
そうではなくて、コントロールできることだけでいいので、しっかりとコントロールすることが試合前の心の整え方なのです。
自分の願いを唱えるということは、意思の力によってできることなのでコントロールできることです。
コントロール可能な意思をコントロールすることで、コントロール不可能な感情に振り回されることを防ぐことができます。
また、人間は、『~したい』と欲求が達せされることを想像している時は、脳内の自己報酬系という機能が刺激され、モチベーション、集中力、行動力が高まります。
試合前に不安や迷いが生じることは仕方がないことであり、それは決して弱さではないので、そんな時には『不安や迷いがあるのは、自分は~したいと願っているからだ』と、自分の目的を思い出して、その目的が達成されることを願ってみて下さい。
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