信じる力と考える力はどちらが必要か

私はアスリートの相談を受けた時に、アスリートの信じる力と考える力の程度を意識して話を聴いています。
最初に結論から言っておくと、信じる力よりも考える力を高めることが大切だと思っています。

2つの信じる力

まず、信じる力についてですが、信じる力は大きく分けると2種類あると考えています。
それは、他人を信じる力と自分を信じる力です。

他人を信じる人

他人を信じる力が強い人は、不安感が強く自己肯定感が低めの人が多いように感じます。
不安で自分を肯定できないため、他人の言葉によって自分を支えようとする傾向が強いのですが、根本的に不安感が強くて自己肯定感が低いので、新しい情報が入ってくると最初に信じていたものよりも新しい情報が気になったりして、情報に振り回されてしまうこともあります。
ただ、信じた情報が正しくて、それを盲目的に信じることによって不安が無くなり、他人を信じることで自己肯定感が一時的に安定して自分の力を発揮することもあります。

他人を信じやすい人は、他人からのアドバイスに耳を傾けすぎて自分の感覚を見失って調子が崩れてしまうこともあります。
さらに悪い状態を指摘されアドバイスをもらうとすべて受け入れてどんどん本来の状態からかけ離れて選手生命が短くなる人もいます。
またイップスになりやすい人も他人を信じるタイプの人に多いように感じます。

自分を信じる人

自分を信じる力が強い人は、自己肯定感が高く根拠が弱くても自分に自信を持てている人もいれば、自分が行ってきた努力とこれまでの成長を自覚していて自分を信じることができている人がいます。

自分を信じることができる人は、表現力や行動力がある人も多く、周囲と人とのコミュニケーションを積極的に行うため、自分が活動しやすい環境を手に入れる力が高いように感じます。
また、努力の内容や積み重ねを肯定する力が強いので、勝負事にも強い気持ちで臨むことができていると感じます。

その反面、頑固になりやすいので周囲からの助言が耳に入りにくいという傾向もあります。
新しい情報を受け入れにくいところもあるので、過去の成功体験に執着して年齢や環境の変化に合わせて臨機応変に対応することは苦手な人もいます。

アスリートの考える力

スポーツの競技力向上という視点から見ると、信じる力に対して考える力というのは、他人や本などから得た情報に自分の体験や感覚を重ね合わせて納得できたものや有益だと感じたことを取り入れるという情報の取捨選択ができる力だと思います。
また、取り組みと成果を重ね合わせて良いことは継続して、路線変更が必要な時は柔軟に取り組み方を変えることができる人も考える力が高いと思います。

考える力が高い人は、1つの物事を多角的に見る視点を持っています。
例えば、スポーツの技術を向上させたい時、脳と筋力と骨格といった複数の視点から自分の技術と目指す技術を比較することで取り組むべき練習方法を導き出すといような感じです。
多角的な視点を持つ人は、試合結果の分析も自分の能力、相手の能力、コンディション、試合の流れなど複数の視点から分析するので、闇雲に自分が原因と考えることも結果に対する言い訳をすることや自惚れることも少ないと言えます。

多角的な視点は知識量の影響を受けるので、考える力の高い人ほど知識を学ぶ意欲が高い傾向にあり、アスリートと話をしていても考える力の高い人は貪欲にこちらから情報を得ようとしています。

考える力を高めるメンタルサポート

スポーツはもちろん、ビジネスや人間関係の構築でも信じる力と考える力の両方が必要ですが、私が考える力の方が重要だと思っているのは、信じることもしっかりと考えた結果選択したものであることが望ましいと考えているからです。

何かを信じるということは、不安定な心を支える力になります。
短期的には、盲目的に指導者を信じたり、メンタルトレーナーを信じたりということで不安や迷いが払しょくされて良いパフォーマンスができ結果が得られることもありますが、競技生活全体と引退した後のセカンドキャリアは、考える力によって自分にとって大切な決断ができることが重要になると言えます。

アスリートの相談を受ける時は、何かに困って相談に来ているので最初はこちらを頼ることによってパフォーマンスを取り戻すということがあったとしても、それで課題を解決したと思うのではなく、自分の考え方によって自分のパフォーマンスを安定させることができる力を身につけてもらえるように意識しています。

私は、メンタルトレーナーの役割は、一時的にアスリートの課題の解決を支援することによって、アスリート自身の問題解決能力や自己成長力を高めることだと考えています。

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