強いチームのチームワーク

ビジョンを定着させるコミュニケーション

私は母校の東洋大姫路剣道部のメンタルトレーナーを2015年から務めていて、2019年に同部はインターハイ3位という結果を収めました。
これは、東洋大姫路剣道部としては過去最高の成績でした。
私は、この成績を残せた要因の一つは監督が生徒たちに明確なビジョンを示し続けたことだと思っています。

常に『全国制覇』というビジョンを示し続けた監督の行動

剣道部の稽古の中では、常に監督から「全国制覇」という言葉が発せらていました。
1回の稽古中に何度も「全国制覇」という言葉が出てきていました。
稽古内容を説明する時、生徒を叱咤する時、生徒を励ます時など、さまざまなコミュニケーションを通じて生徒達に全国制覇を意識させていたのです。

東洋大姫路は剣道では強豪校ではありますが、2019年の時点では学校に寮があったわけではないので、剣道部に在籍している生徒は自宅から通学できる子たちばかりでした。
全国の強豪校の多くは寮があり、中学時代に全国大会で活躍した生徒が何人も集まっています。

東洋大姫路の場合は、中学の全国大会出場経験者はいますが、半数以上は兵庫県大会出場経験、もしくは県大会の前の地区大会どまりの試合経験しかない生徒が入部して来ているという状況だったので、全国制覇という目的に対して半信半疑になる生徒も少なくありません。

そんな環境だからこそ、監督は常に「全国制覇」と言葉に出して、生徒達に明確なビジョンを示し続けていたのです。

共有すべきビジョンとは

チーム内で共有すべきビジョンはさまざまです。
強いチームには、主に下記にようなビジョンの共有が必要となるので参考にして下さい。

チーム内でが共有すべきビジョン
  • 全国制覇、リーグ戦優勝などの目的
  • 目的を達成するためにクリアすべき目標
  • 目的の達成のためにやるべきこと
  • 目的達成のために必要な成長度合い
  • どの目標をいつまでにクリアすれば良いのか

どんなビジョンを共有した方が良いのかがわかっていれば、コミュニケーションの中にどんな話をしたり、どんな言葉を発すればいいのかがわかりやすいと思います。
チームによって、この他にも共有した方が良いビジョンがあれば、上記に加えてチーム作りに落とし込んで下さい。

ビジョンを共有するためのリーダーシップ

冒頭の東洋大姫路剣道部の事例は、監督によってチーム内のビジョンが共有されたケースですが、チームでリーダーシップが求められるのは監督だけではありません。
監督は、総指揮というリーダーシップを求められますが、コーチ、主将や副主将もリーダーシップを発揮することを求められる役割です。
競技によっては、ポジション別のリーダーを設けている場合もあるので、その役割に該当する人もチーム内でビジョンを共有するという目的のコミュニケーションを意識した方が良いと言えます。
リーダーがビジョンの共有を促進するためにできるコミュニケーションにはいくつかの方法があります。

練習中

練習中にチームメイトを鼓舞したり発破を掛ける時、練習メニューの説明をする時など、自然な形でチーム内に浸透させたいビジョンを言語化しましょう。

ミーティング

ミーティングは、リーダーが主となって重要なことを伝える場合もあれば、みんなで意見を出し合ってチームのさまざまなことについて話し合う場合もあると思いますが、どちらの場合でもリーダーは意図的に共有すべきビジョンを言葉にして下さい。

その他の機会

食事中や自由時間でのチームメイトとの会話もビジョンを共有できる機会です。
個別の人に伝える時には、このような機会の活用は有効的です。
ただ、敢えて競技以外の話をしてお互いの距離を縮めたり、気分転換ができる機会でもあるので、状況を見極めて使って欲しいと思います。

ビジョンが共有できているチームの特徴

ビジョンが共有できているチームは以下のような特徴を持っています。

ビジョンの共有できるとチームはこう変わる
  • チーム内で目的達成に必要な行動が促進される
  • チームへの愛着や帰属意識が強くなる
  • 個々の役割や責任が明確になる
  • チーム内で意見を言いやすい雰囲気が高まる
  • チームの構成員同士の信頼関係が高まる。

ビジョンを意識してコミュニケーションを取ると個人の態度にもチームの方向性にも一貫性が生まれます。
冒頭の東洋大姫路の場合も、生徒が監督を信頼していて、生徒同士の信頼関係も高かったと思います。

チームは複数の人間、立場の違う人間によって構成されるので、容易に団結するものではなく、些細なことで状態が変化してしまいます。
そんなチームというものがしっかりとまとまっている背景にはビジョンの共有という要素が必ず見受けられます。
強いチームを作るためには、ビジョンの共有を意識してチーム作りをして下さい。

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