剣道のメンタルトレーニング

8月8日から10日にかけて剣道のインターハイが行われました。
この大会には、私の娘も京都代表として個人戦出場して3回戦敗退という結果に終わりました。
本人としては、悔しさもあったと思いますが子供のころから小学生時代は週2回の稽古、中学は娘以外の同級生が中学生から剣道を始めたという決して稽古の量と質が十分だとは言えない環境で、高校生になってから強度のある稽古を行って出した成果なので、親としてはよく頑張ったと思っています。
ただ、上記のような環境の中でも全国大会で活躍することを想定して稽古には取り組んでいて、稽古の量と質を補うためにメンタルトレーニングは行っていました。

今回の記事では、私が剣道のための必要だと感じて娘に取り組むように伝えたメンタルトレーニングを紹介したいと思います。
娘が小学生の頃から始めたメンタルトレーニングには、メンタル強化の土台となるものと剣道の競技特性を踏まえてアレンジしたものがあります。

メンタル強化の土台となるメンタルトレーニング

まずは競技問わずメンタル強化に取り組む人に取り入れてほしいメンタルトレーニングが3つあります。

呼吸法

呼吸法は、自律神経の働きを整える効果があるので、緊張していても心を落ち着かせて脳と体の連携が保てる状態を作ってくれます。
また、試合中に心が動揺するような状態になっても、呼吸を整えることによって冷静に試合ができる状態を取り戻すことにも役立ちます。
さらに正しい呼吸を身につけることは、健康維持、体幹の強化にもつながるので剣道に関わらずどの競技でも毎日呼吸法のトレーニングを行う意味があると言えます。

緊張状態をコントロールする呼吸法

ビジョントレーニング

ビジョントレーニングとは視機能を高める方法ですが、身体的には以下のような効果があります。
いくつもの効果がある中で、特に剣道に重要だと思えるものを紹介します。

身体的効果

  • サッカードと言われる素早い視線移動の正確性や反応潜時の短縮
  • スムースパシュート(滑動性追従)の安定化(動くものを目で追う能力が向上)
  • クワイエット・アイという打突直前の視線安定時間が向上する
  • 視野内の“同時処理”数の増加(相手の表情を見ながら竹刀の動きも把握)
  • 刺激→判断→動作の一連を短縮により眼と手足の協調性向上
  • 姿勢制御、VOR(前庭‐眼反射)トレで動作中の視界安定

心理的効果

  • 視覚入力→意味解釈→意思決定という情報処理速度の向上
  • 一度に保持・操作できる視覚情報量が増え、全体像と重要点の“同時把握”が楽になる
  • 選択的注意・分配的注意・注意転換の質が上がり、フェイントへの過剰反応が減る
  • 視野内の“同時処理”数の増加(相手の表情を見ながら竹刀の動きも把握)
  • “見えている”感覚が意思決定の自信につながり、試合不安や視作業ストレスを軽減
  • 視線の安定化(QE)と雑情報のフィルタリングで集中力アップ

メンタルトレーニングとしてのビジョントレーニング

動作の軌道をイメージするトレーニング

体の動き、ボールの動き、バットや竹刀、ラケットなどの道具の動きの軌道をイメージするトレーニングというものがあります。
一流選手ほど軌道をイメージするという感覚を持っていて、そんなことは子供のころから自然にやっていたという人も少なくありません。
軌道をイメージすることは、動作の精度向上、予測力や集中力の向上にもつながります。

軌道をイメージ化する力

剣道の稽古の中で取り組めるメンタルトレーニング

次に紹介するのは剣道の稽古の中で実践して欲しいトレーニングです。

相手の一足一刀の間合いからの打突を見切る稽古

相手の打突が打突部位を捉える間合いから、その打突を見切ってできるだけ小さい動きでさばく稽古。
防御における姿勢制御、眼と手の協調性向上、防御における自己効力感の向上を狙った一種のビジョントレーニングです。

主観的イメージを高めるトレーニング

主観的イメージとは、自分の視野から見えている光景のイメージです。
地稽古や試合稽古をする前に主観的イメージを脳内で生じさせ、パフォーマンスを高めるということを繰り返します。
主観的イメージが有効であることを体験することで、試合前にこれを行えば安心して試合に臨めるという気持ちを持てるようになるでしょう。

主観的イメージを用いたイメージトレーニング

メンタルリハーサル

メンタルリハーサルとは、試合で生じるさまざまな状況に対して心理状態を安定させ、適切な判断ができる力を養うトレーニングです。
試合で発生するストレスへの耐性を高めることで、さまざまな場面への対応力を向上させることが狙いです。

試合に強くなるためのメンタルリハーサル

まとめ

上記で紹介したものが私が娘に対して提案したメンタルトレーニングです。
特にメンタル強化の土台となるトレーニングは、1人でも行うことができるし時間もあまり掛からないので何年も継続できます。
実際に娘は小学生のころから続けています。
下の3つは、一緒に稽古をする時に行うこともあるし、学校の稽古の中で意識して取り組むように伝えていました。

娘だけでなく母校である東洋大姫路の剣道部にも同じトレーニングを提案していました。
コロナ禍を迎えるまでは月に1度はメンタルトレーニングの指導に行っていたのですが、インターハイ3位になった時の生徒達は熱心に取り組んでいました。

剣道の試合のパフォーマンスを向上させるためにメンタルトレーニングに取り組みたい人は、このページに紹介しているものを実践してみてください。
詳しいことが知りたいという方は、いつでもコーチングを受けに来てください。
1つ1つ丁寧に説明させていただきます。

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