守る技術が心の余裕を生む
前回の記事では、間合いと機会について説明をしましたが、今回は守る技術と打突の機会の関係について説明したいと思います。
小学生に守る技術について説明をする時に重視していることは、守るということは逃げるということではなく、相手の気持ち、打突の発生、竹刀の動きを制するということだと認識してもらうことです。
逃げると制するの違い
剣道において相手の打突から逃げるというのは、心理的には怖がっている状態です。
怖がっているということは、心理的には負けてしまっている状態です。
動きとしては、足が止まったままで防御姿勢に入る、後ろに下がる時に上半身がのけ反る、相手の打突に対して過剰な防御反応になってしまうという特徴が表れます。
それに対して制するというのは、緊張感は高まっているけど、怖いという心理より相手の動きを見極めようという心理が上回っている状態です。
動きとしては、防御姿勢に入る時に足も動いている、後ろに下がるとしても上半身が崩れていない、相手の打突に対して最小限の動きで対応している。
小学生には、防御は試合の技術として大切だけど、逃げると制するのは違うということを上記のように説明しています。
相手の打突を制する練習
相手の打突を制することができるようになるために小学生に指導している内容は、間合いの攻防の中で、一方は打ち間を捉えたと感じたら打突をして、もう一方はそれを攻め入って来る時の剣先を制する、打突に移ろうという瞬間を制する、打突してきた竹刀を制するということを何度も何度も繰り返すというものです。
例えば、1分行うとしたら打突する方は打突ばかりで、守る方は相手を制するということを続けます。
守る技術を身につけるために、それだけを集中して行い身につけることを目的にしています。
自分は守れるという自信が打突の機会の見極めにつながる
ひたすらに守る技術だけを身につける稽古する目的は、自分は相手が打突をして来ても、それを制することができるという自信をもにつけてもらうことです。
自分よりも体格が大きい相手、スピードが勝っている相手でも、集中していれば相手の打突を制することができるという自信と技術があれば、試合中に過度な恐怖を感じにくくなります。
試合では、警戒心は必要ですが、それが恐怖心になってしまうと体の動きが鈍くなったり、脳も相手の動きに対して適した反応をしなくなってしまいます。
守る技術を身につけることにより、怖いという気持ちに囚われにくくなるのです。
守る技術は攻撃力を高めてくれる
守る技術を身につけることによって試合中に過度な恐怖心を抱かないようになると、慌てて打突しようとすることが減り、打突の前の間合いの取り方、打突の強度や姿勢が良くなります。
剣道は、一見は攻撃しているように見えても、怖いから打ってしまうということが起こります。
しかし、守る技術が向上すれば怖さを感じにくくなり、相手との間合いを測り、機会を見極める心理的な余裕が生まれます。守る技術を身につけるというのは、相手に打たれないためだけではなく、間合いや機会の見極めと思い切った打突を生むという攻撃力強化が目的でもあるのです。
小学生のうちから、攻撃力を高めるために、制するという発想の守る技術を身につけることを提案しています。
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