試合に強い選手が持っている心理的特徴

試合になると力を発揮できない選手がいある反面、プレッシャーの掛かる場面、重要な試合で実力を発揮することができる選手がいます。
これは、試合に臨む選手が心理的安全性を確保できているかどうかという違いがあります。

心理的安全性とは、周囲からの評価を気にしたり、心が不安だけに囚われている状態ではなく、安心して活動できる心の状態を作るために必要な心理的要素のことです。

試合をするということは、勝つか負けるかということが付きまといます。
そのため、不安になることや怖気づきそうになることもあるでしょう。
結果が悪いと周囲からどんな評価を受けることになるのかと気にしてしまうこともあると思います。
また、プロになると結果次第では引退しなければならない状況に追い散るので、、自分がいつまで競技を続けられるのか、または引退後は自分に何かできるのかと不安になることもあります。

上記のような心理状態を抱えつつも練習で積み上げてきた実力を発揮するためには心理的安全性が必要なのです。
試合前や試合中に、不安や怖さ、迷いなどを抱えつつも『負けたからって命まで取られるわけではない』、『あれこれ考えるのは結果が出てからにしよう』など、勝つことを追い求めながら負ける可能性があることを受け入れる心構えも同時に抱えている状態を心理的安全性があると言えます。

心理的安全性を高めるために必要な要素

心理的安全性を高めるには、下記のような要素が必要になります。
すべてそろっている必要があるのではなく、選手によってどの要素によって心理的安全性が高まっているかは違いがあります。

  • いざとなると周囲の目を気にしないようになれる
  • 自分なりの物事の評価基準を持っている。
  • 責任を背負い込まない考え方を持っている
  • 指導者や仲間との信頼関係が築けている
  • 試合で負けた時のリスクを過大評価していない
  • やるべき事に意識を向けることができる

心理的安全性が高い選手は、このような特徴を元々の性格とこれまでの経験によって獲得することができています。
そのため、プレッシャーの掛かる場面や大切な試合でも心理的に自分を追い込みすぎないでいれるのです。

試合というものは、勝敗がつきものなので試合自体にある程度の危機感を感じるのは当然で、その危機感を感じて緊張することは誰にでも起こることです。
しかし、試合に負けることによって生じるリスク、周囲から受ける評価、今後の進退などを過剰に意識すると、本来の試合の危機感以上の負荷が心に掛かってきます。

試合で力を発揮できる選手というのは、余計な心への負荷を排除できる性格的特徴、思考力、自信などを持っていると言えます。

心理的安全性が崩れる理由

私のところには、試合によっては心理的安全性が確保できていた、または過去の試合では心理的安全性を持っていたと思える選手が、何らかの理由で心理的安全性が崩れてしまい試合結果も悪くなっている状態で相談に来られることがあります。
調子を崩していてパフォーマンスが低下している選手は、以下の心理的特徴が見受けられます。
試合で力が発揮できないと悩んでおられる方は、自分に当てはめて読んでみて下さい。

  • 自己意識が高すぎる、もしくは低すぎる
  • 神経質傾向が高くなっている
  • 課題を克服できる感覚と手段を持っていない

この3つの特徴について1つずつ説明していきます。

自己意識とは

自己意識とは、自分自身に向けられている意識のことです。
自己意識が高すぎず、低すぎない状態だと、冷静に自分の状態を把握することができています。
それは、自分の調子の良さも悪さも適切に把握できている状態です。

しかし自己意識が高すぎると、過剰に自分の状態が悪いのではないかと気になってしまいます。
反対に自己意識が低すぎると、自分の状態がいつもと違うことに気づかずに気持ちが先走ってしまったり、無理なプレーをして故障してしまうということもあります。

自己意識の高さは感情の働きと相互作用になっていて、自己意識の状態が感情を生み出し、感情が自己意識の状態を左右するので、思考力だけで良い状態を作り出すことは難しいと言えます。

神経質傾向とは

神経質傾向は、感覚の敏感さでもあるともいえます。
物音や視界に入るものが気になりやすい状態は神経質傾向が高いと言えます。

スポーツにおいて神経質傾向が高くなっていると、周囲の人の視線や考えが気になって自分のプレーに集中できなくなったり、結果を気にして体が硬くなっているという状態が生じパフォーマンスが低下するということにつながります。

神経質傾向の高さは生まれ持った性格も関係しているので、神経質傾向が高くなりやすいという状態は変えることが難しいと言えます。
そのため、自分は神経質傾向が高いかどうかを把握しておくことが大切です。

課題を克服できる感覚と手段とは

スポーツでも仕事でも自分のパフォーマンスをしっかりと発揮できる人は、自分は課題を克服することができるという感覚とそのための手段を持っています。
心理的安全性が低い時は、この感覚と手段を持っていない、そして精神状態の低下により自分は課題を克服する力があるという感覚が薄れ、手段も忘れている、という傾向があります。

課題を克服できるという感覚と手段のことを心理学の用語ではサイコロジカルモメンタムと言います。
サイコロジカルモメンタムを持っている人は、自己意識を安定的に保つ思考力や方法を知っていたり、自分が神経質傾向が高いことを理解して対処方法を獲得しています。

私がアスリートのコーチングを行って思考力の向上を促すのも、メンタルトレーニングを行って心理状態をコントロールする方法を指導するのも、サイコロジカルモメンタムを身に着けてもらうためともいえます。

サイコロジカルモメンタムを高める方法

コーチングとメンタルトレーニングは、サイコロジカルモメンタムを身に着けるのにとても効率の良い方法です。

コーチングは、話を聴いてもらってメンタルトレーナーからの見解を聴くことで気づきや学びが生まれ、自分の思考力を高めることにつながります。
また、専門的な知識を得ることができるので、知識によっても思考力が向上します。

思考力は、心の変化を観察して落ち着いて対処するために必要な力です。
安定して力を発揮しているアスリートは、思考力によって自己意識を安定させたり、神経質傾向への対処をしています。

メンタルトレーニングは、人間の脳の働きを理解して試合に適した状態を作るための方法を身に着ける取り組みです。
具体的な方法を知っておくことは、心理的安定性を高めることにつながります。
また、自己意識や神経質傾向が乱れても、自分である程度整えることができます。

実際に心理的に不安定になってパフォーマンスが低下している選手が、相談に来た後の大会で好成績を収めているという事例も何件もありますが、これらは心理的安全性が回復したことが要因だと感じています。

安定して力を発揮するということは多くのアスリートにとっての課題です。
そのために準備として、定期的にコーチングやメンタルトレーニングを利用してみてはいかがでしょうか。

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中高生から取り組くめるメンタル強化
メンタル面で大崩れしないアスリートに共通しているのは、自分を心理状態を保つ思考力を持っている点です。
この書籍は、アスリートが思考力を高めるために必要な知識、発想、方法などをまとめています。
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メンタルノート
メンタルノートは、アスリートとして必要な心理的能力を養うための練習日誌です。
自分の置かれた環境、限られた時間の中で競技力を高めるための計画力構想力を高めたり、自分の状態を把握する洞察力分析力を高め、アスリートとしての自立を促すような内容になっています。アスリートとして必要な心理的能力を養うための練習日誌

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