アスリートと摂食障害

プロアスリートやスポーツに人生を掛けている人ほど、食生活もトレーニングと同じくらいの重要なものとして取り組む必要がでてきます。

競技によっては厳しい体重のコントロールが求められることもあり、自分の食欲を抑えながら生活していることもあります。
競技をしていると体重のコントロールによる食生活の偏りが生じたり、過度なプレッシャーから気を紛らわすために食事の量が増えてしまうこともあり、その結果摂食障害になってしまうことがあります。

拒食症と過食症

摂食障害の主な症状は、拒食症と過食症です。

拒食症

一般的には、ダイエットがきっかけで体重が増えることに不安や不快感を感じるようになり、食べることができなくなることを拒食症(神経性無食欲症)といいます。
ダイエットはあくまできっかけであり、自己肯定感の低いということが拒食症を引き起こしやすい。
アスリートの場合、厳しい体重制限の中でわずかな体重の増減に神経質になり拒食症に陥っていくケースが多いようです。
体重調整が上手くいかないとパフォーマンスが落ちるという不安や試合に出れないという危機感が、食べるということへの恐怖心を生んでしまうのです。

過食症

ストレスを食べることによって紛らわそうとたくさんの食事を食べ続け、その後に食べたことへの罪悪感に襲われて自ら嘔吐する、薬物で排泄を促す、絶食するというような代償行為を行うことを過食症(神経性大食症)という。
代償行為を行わない場合は、過食性障害(むちゃ食い障害)という。
過食症は、拒食症を経て発症することもあります。
アスリートは、プレッシャーがある中で生活していてストレスレベルが高い人も多いため、過食に走ってしまう人がいるようです。

摂食障害の心理的要因

アスリートが摂食障害に陥りやすい理由には、社会性の弱さというものも関係していると感じています。
アスリートに限らす摂食障害、不安神経症、強迫神経症に陥りやすい人の特徴として、物事の原因と結果を無理やり結び付けてしまう傾向があります。

それは、多様な人間関係の中で育っていないということ、知識が不足していることが影響していると感じられます。
アスリートは、高いレベルの選手ほど学生時代にスポーツに打ち込む時間が多く、友達が限定されたり、勉強をする時間が少なくなる人もいます。

また摂食障害になる人は、自分のマイナスだと感じている部分を他人に知られたくないと思う優等生タイプが多く、摂食障害になってもそれを他人に話すことができずに抱え込み、症状が悪化していくという傾向もあります。

自己価値と摂食障害

スポーツに人生を掛けるほど、競技成績が自分の価値だと思い込んでしまい、結果が出ていない時や結果を出せなかったらどうしようと思う時は、自己価値が低下してしまいます。
もそもそ摂食障害は、『やせていない自分はダメだ』という自己否定感が症状を悪化させていくので、競技で結果が出せていない自分は価値がないという思いに陥ってしまうと、摂食障害は悪化する可能性があります。

また幼少期からスポーツをしている人は、両親からも過度に期待や発破を掛けられるので、
『結果を出せない自分には価値がない』という条件付きの自己価値を持ってしまいやすいのです。
本来、特に親子関係では、無条件で受け入れてもらえる安心感を感じながら育つことが望ましいのですが、子供の競技結果に親が一喜一憂してしまうと、子供は結果を出さないと受け入れてもらえないという思いを持つようになり、それが強迫観念と言えるまで強くなってしまうこともあるのです。

摂食障害の予防と克服

摂食障害の予防という意味では、アスリートは競技生活を続けていく上での価値観を見直していくこと、弱音や悩みを話せる人間関係を作っておくことが必要かと思います。
アスリートを取り巻く環境としては、指導者やトレーナーがアスリートの心の問題に関する知識を持ち、どうしても強迫的に自分を追い込みがちになるアスリートのストレスを緩和してあげたり、視野を広げてあげるということが必要になってくると思います。

現在の摂食障害で悩んでいるアスリートに関しては、摂食障害のケアができるメンタルトレーナー、カウンセラーのサポートを受けること、自分の価値観を再構築していくことが必要です。
指導者やトレーナーは、アスリートが事情を話してくれた場合、内容にしっかりと理解を示してサポートをしていく必要があります。
具体的には、ケースバイケースなのでアスリートの性格や経過を考慮しつつ、専門家の助言を受けて支えていくことが望ましいと言えます。

摂食障害であっても、周囲には事実を隠しているアスリートも多いので、状態を話せる人間関係を作っていくという意識がアスリートもそれを支える人達にも必要であると思っています。

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