今回は、私のLINE公式アカウントに登録してくださっている方からの質問に対する返答です。
質問者の情報を守るため、質問の内容は必要な部分だけを公開しています。
相手によってパフォーマンスが低下する理由
質問の内容
Q.勝てると思っている相手に負けてしまうのはなぜか?
この悩みを抱えてコーチングに来る人も少なくありません。
特に1対1で行う競技の選手が抱えやすい悩みだと感じています。
卓球、テニス、ボクシング、剣道、柔道、フェンシングなどです。
A.この相手には勝てると感じていると同時に、失敗しないようにしようという心理が働いてパフォーマンスの質が低下していることが考えられます。
勝てると思った相手に勝てなくなるタイプの選手は、心理的な特徴として対戦相手が自分より実力が下とわかると内心ホッとしてしまう傾向とミスを恐れる傾向あると感じられます。
この2つの心理的な働きは、下記のようなパフォーマンス低下の原因を作ってしまいます。
『勝たなければならない』という暗示が力を低下させる
格下の相手と試合をする時にパフォーマンスが落ちる選手は、『この相手に勝てそうだ』と感じたら、脳内で『この相手には勝たなければならない』という自分への暗示をかけている可能性があります。
そのため、ミスを恐れるようになり、相手に勝つためのパフォーマンスではなく、ミスをしないパフォーマンスを優先するようになってしまいます。
さらに試合前に『この相手には勝てそうだ』と思った時などは、挑戦するという気持ちが低下して脳が思い切って力を発揮しようという働きをしなくなってしまいます。
『この相手に勝たなければならない』という思いを持ったら、相手に勝つための判断ではなく、ミスをしないという判断でプレーを選択するようになること、そして筋力を十分に発揮できない状態になっていることが原因で自分のパフォーマンスが低下して、苦戦をしてしまうのです。
勝てると持った相手に苦戦すしていると感じると、焦りが生じてしまいパフォーマンスが乱れるので、余計に勝てる可能性が低くなってしまい、結果的に勝てるはずの相手に負けてしまうということになるのです。
格下の相手にパフォーマンスが発揮できない人の対策法
格下の相手に力が発揮できないという選手が、勝てると思った相手に対しても自分の力を発揮できるようになるための対策は以下の2つです。
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- 普段から誰が相手でも全力でプレーする
- 対戦相手に対する評価基準を変える
普段から誰が相手でも全力でプレーする
人間は、普段の慣れ親しんだ人との練習では無意識に力をセーブしてしまいます。
特に相手が自分よりも実力が劣る選手との練習だと、手を抜こうという気持ちがなくても相手に合わせたパフォーマンスで練習をしてしまっているということに身に覚えのある人は少なくないのではないかと思います。
人間の脳は、上記のような日常の影響を受けるので、試合の時にこの相手には勝てそうだと感じると無意識に力をセーブする癖が身についてしまう恐れがあります。
そのような状態にならないためにも、普段の練習から相手が誰であろうと自分の力を思い切り発揮するという習慣を身につけておくことが大切なのです。
普段から一生懸命練習をしているという意識だけでは弱いので、『相手が誰でも全力を出す』という強い意識を持って練習に取り組んで下さい。
対戦相手に対する評価基準を変える
もう1つの対策が、対戦相手に対する評価基準を変えるというものです。
これはどういうことかというと、対戦相手を自分よりも強いか弱いかではなく、慣れている相手か慣れていない相手という基準で評価するというものです。
普段から練習相手に恵まれていて、競技レベルの高いもの同士で練習ができる選手は、自分や普段の練習相手に比べてスピードやパワーが劣る選手と対戦することに慣れていないということになります。
そのため、そういう相手との試合こそ油断はできないのです。
いつも競技レベルの高い選手と練習をしていると、試合で多少強い相手と当たっても脳が慣れているのでいつものパフォーマンスが発揮できるのですが、普段の練習相手に比べてスピードが遅く、パワーも弱い相手だと脳が慣れていないので、勝てると安心して集中力が低下していると上手く対応できなくなってしまいます。
例えば、野球のバッティングは早いボールよりも遅いボールをしっかりと打つ方が技術が必要らしく、三冠王を取っている落合博満さんは自分のバッティングの調子を整えるために遅いボールを打つ練習をしていたほどです。
スピードやパワーがないということは、決して簡単に対処できるということではなく、いつもと違うタイミングに自分のパフォーマンスを合わせる技術や集中力が必要だという認識を持っておいて欲しいと思います。
スポーツの勝敗を分ける要素は、目で見て図ることができるスピードやパワーだけではありません。
目に見えない相手の集中力や賢さも勝敗に影響するので、どんな相手に対しても勝てそうかどうかではなく、慣れている相手かどうかを評価基準にして、慣れていないと思える相手だからこそ、相手の隙をしっかりと攻撃するというような意識を持って集中して試合に臨むという心構えを持っておいて欲しいと思います。
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