アスリートの競技力の高さと人間性は関係があるのか?

アスリートは、人間性が成熟していることが期待されたり、明るい、健康、健全などのイメージを持たれる側面があると思います。
その証拠に、企業が体育会系出身の学生を採用しようとしたり、企業のイメージアップのためにCMなどの広告に起用されています。
ただ、アスリートの心理というものを考えると、競技生活ではなく競技そのものには、人間性よりも動物性の高さが必要になり、それが結果にも大いに影響していると考えられます。

戦いに求められる心理的要素と試合を成立させる人間性

アスリートにとって試合は、別の言い方をすれば戦いです。
戦いでは、直感や瞬時の反応、気後れしない気勢などが必要で、それらを生み出す働きは人間の脳の中央とそれより下の部分が担っています。
その部分とは、爬虫類にも存在している脳幹や大脳基底核と鳥類や多くの哺乳類では発達している大脳辺縁系のことです。

爬虫類、鳥類、哺乳類は、人間に比べると過酷な環境で生きていて、多種や同種の生物と戦ったり、逃げたりして生存競争を生き抜かなければなりません。
そのため、脳幹、大脳基底核、大脳辺縁系の活発な働きが生き残るために必要になります。

人間でも、これらの脳の働きが活発であるほど、戦うという要素を含んでいるスポーツでは力を発揮できるので、当然これらの脳の部位が戦いの中で活性化された方が成績もよくなる傾向にあります。

試合に勝つことを目指すということは、動物でいうと生存競争で生き残るということなので、アスリートにとって試合に勝つために求められるのは人間性よりも動物性だと言えます。
ただ、スポーツにはルールがあり、そのルールは競技の公平性、安全性などを保つために設けられています。

そのため、試合においてルールを理解して、その範囲で勝つことを目指すためには人間性が求められると言えるでしょう。
また、勝ちを目指す中で安全を保つことも求められるので、興奮状態の中でも人間性が働くからこそ試合が成り立つとも言えます。

有名になることは人間性が成長する機会なのか?

社会では、試合に勝ちぬいて有名になったアスリートには人間性も良い人であってほしいという期待を持っている人がいたり、人間性も優れた人なのだという印象を持って見ている人もいると思います。
試合で勝つには、アスリートの持っている動物的な脳の働きが求められますが、試合で結果を出し続けて有名になることは少なからず人間性の高さも期待されるようになると言えるでしょう。

アスリートにとって自分の知名度が上がり、注目を集めるようになると、周囲からの扱いにも変化が生まれます。
その変化によって自分の欲や願望を抑制しなくなる人が出てくるという事実もありますが、反対に人に見られている意識や応援されてるという感覚が人間性を高めるきっかけになることもあります。

アスリートにとって知名度が上がった時の変化は、家庭や指導者から受けた教育の影響はあるのではないかと思っています。
活躍しても有名になっても自分のペースを乱さない、人との接し方が大きく変わらない人は、家庭の中で生活習慣や思考の軸が作られているように感じるのですが、そう考えるとアスリートの人間性は知名度が上がったことによって変化するというよりも、知名度が上がる前にある程度の素地が出来上がっていると言えるのではないかと思っています。

活躍するからこそ人間性を高める取り組みが必要

スポーツはより専門的で高レベルな領域で行うほど、勝負という局面で力を発揮するための精神を鍛えることは大切ですが、それと同時に人間の社会性を養う取り組みも大切です。
アスリートにとって人間性は、競技で活躍するから養われるものではなく、むしろ競技で活躍することを前提としているなら人間性も同時に高めていく必要があるものだと考えています。

人間の社会性は、脳の大脳新皮質という部分を鍛える必要があります。
よりコミュニケーション能力や道具を使う能力、子育てをする能力が発達している動物ほど大脳新皮質は発達しており、人間は特にその部分が発達している動物なのです。人間性を養うということは、大脳新皮質の働きを鍛えていくことでもあり、それは自分の生き方を決める精神を養っていくということでもあります。

人間性を高めるとはどういうことなのか?

アスリートはスポーツをするから人間性が養われる発想よりも、人間性が養われる機会が多くなり、それを活かすのは自分自身と考えて欲しいと思います。
競技に真剣に向き合う生活の中にある人間性を高める機会で思いつくものを取り上げてみました。

  • 競技で勝ち抜くための精神を高める機会
  • 努力しても結果が出ない自分と向き合う機会
  • 結果が出た後に自分の感情や周囲の反応と向き合う機会
  • 遠い目標に対して自分を成長させていく機会
  • 競技の妨げになる欲求と向き合う機会
  • 周囲との協力が求められる機会
  • 自分に素直になって周囲からのサポートを求める機会

結果を求めてスポーツをするということはさまざまな機会に巡り合うことだと考えると、スポーツをすると人間性が高まるのではなく、スポーツをするなら人間性を高めるつもりで取り組むことが望ましいと考えて競技生活を送ることが、人間性を高めることになると考えています。

特にトップアスリートになる人は、多くの注目を浴びることや活躍によって周囲からの扱われ方が大きく変わっていくことを経験するため、人間性が試される機会が増えるのです。トップアスリートほど、動物的な脳の働きが活発で欲求や行動力も高いので、それを上手くコントロールしていく人間的な脳の鍛錬をしておかないと社会性が必要な場面で、欲求や衝動に任せた行動をしてしまう可能性が出てきます。

トップアスリートは、活躍するまでの過程で厳しい練習を乗り越え我慢や努力をしてきたことは事実ですが、競技力の向上と人間性の向上は、関係している脳の部位が違うからこそ、それぞれを向上させることができる取り組みを行っていく必要があるのです。
相談に来られるアスリートの多くは中学生から30歳までなので、アスリートの競技生活の質を上げるためにも、引退後の生活のためにもコーチングを行う時には人間性の向上も意識したアプローチを行っています。

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