試合前、試合中の吐き気に悩まされている方へ
最近、中高生から試合前や試合中に吐き気が起きるので困っているという相談を受けることが増えています。
私が運営しているLINEの公式アカウントでも、吐き気に対する対処法を教えて欲しいという質問が寄せられることが多いので、過去に書いた記事を読んで頂くようにしています。
それがこちらの記事です。
上記の記事は、吐き気を症状という観点から説明してるのですが、今回の記事では症状が起きるメカニズムに焦点を当てて説明したいと思います。
吐き気と自律神経の関係
試合を控えている人間の体は、今から戦うということに備える必要があるので、自律神経の1つである交感神経の働きが強くなります。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、スポーツの試合や人前で話したり発表をするという時は交感神経の働きが高まり、家でリラックスしている時、入浴中やマッサージを受けているような時は副交感神経の働きが高まっています。
交感神経の働きが高まっている時と副交感神経の働きが高まっている時の違いは、下記の図で
わかりやすくまとめてあるのでよく見て下さい。
吐き気が起きる理由は消化の働きの抑制だった
試合前、試合中の吐き気に関しては、上の図の中の消化という項目が関係しています。
試合を控えて交感神経の働きが高まり始めると、筋力を発揮するために血液が筋肉の方に多く流れるようになり、その分胃腸の血流は低下して消化という働きが抑制されます。
このような消化の抑制は誰にでも起きることなのですが、その際に胃酸が過剰に分泌されることがあり、それが吐き気として表れるのです。
胃腸は血流が弱くなって収縮する力も低下しているのに、胃酸だけはたくさん出てきてしまうので、体がそれを吐き出そうという働きを起こしてしまうのです。
試合前、試合中の吐き気への対策
吐き気が起きるメカニズムは、交感神経の働きが高まっていることだということは理解して頂けたと思います。
交感神経の働きが副交感神経の働きよりも優位になっている時に消化の抑制が起きているので、対策として行って頂きたいことは副交感神経の働きを高めて、自律神経の働きのバランスを安定させることです。
その具体的な方法は、以前書いた記事の中で説明している呼吸法やビジョントレーニングです。
その中でも呼吸法は、自律神経の働きを整えるためにとても有効な方法ですので、普段から行い会得して欲しいと思います。
試合前の食事による対処法
もう1つの対処法は食事です。
食事による対処法は、吐き気に悩まされている人は最低でも試合の前日くらいからは意識して行ってみて下さい。
食事による対処法は、消化の良いもの、においの少ないもの、口当たりの良いものを食べるということです。
消化されにくいものが胃の中に残っていることや、においや食べた余韻が口に残るものは、脳に刺激を与えて胃酸の分泌を促してしまいます。
また、ゆっくりよく噛んで食べるようにすることで、胃腸の働きを助けることになるので、食べ方も意識して欲しいと思います。
ストレスをコントロールする
試合を控えている状態は、ある程度のストレスを感じている状態なので、完全にリラックスした状態を作ることは難しいですが、日ごろから上手くストレスがコントロールできていないと交感神経が過剰な働きをしてしまうようになります。
日頃からストレスがある程度緩和できていることが、吐き気が生じにくくなることにつながるので、ストレスを上手く緩和することを日常生活に取り入れて下さい。
競技のことを頭から話す時間を持つことが有効です。
例えば、趣味で絵を描く、ピアノを弾く、プラモデルを作るなど、競技のことを考える余裕がないくらい没頭できる趣味があるとリフレッシュしやすいと思います。
ゲームも適度な時間行うなら良いのですが、やりすぎると脳がストレスを抱えてしまうので、想像力や表現力、そして多少は体を動かすような趣味が良いと思います。
コーチングによって克服を目指す
もう1つの方法は、定期的にコーチングを受けることです。
コーチングでは以下のようなことを視野に入れて試合前の吐き気に悩む選手をサポートしています。
生理反応と上手く付き合える認知を身につける
吐き気や動悸などの症状は、自律神経の緊張による自然な反応です。
問題はその反応自体ではなく、「この状態ではダメだ」「もう失敗するかも」という不安によって誘発される吐き気などの症状です。
コーチングではこの身体反応を“パフォーマンスの準備サイン”として受け止めるリフレーミングを行い、緊張を味方につける思考習慣を整えます。
心の準備をする力を養う
技術的なウォーミングアップと同じように、メンタルにも準備が必要であり、この準備は習慣化しておくことが望ましいと言えます。
試合前に吐き気がするからと言って、試合前だけに対処をしようとすると上手くいきません。
コーチングでは、アスリートとして競技に伴う心理的負荷に適応できるよう感情の整理、思考の成長、体調管理などを視点に話を行って心を整える習慣を作っていきます。
自己効力感(できる感覚)を取り戻すため
緊張が強い選手は「失敗したらどうしよう」という他者評価の恐怖がベースにあります。
コーチングでは、成功・失敗ではなく“自分のコントロールできる行動”に焦点を当て、選手が「自分で状況を動かせる」という感覚を取り戻す支援をします。
この自己効力感の回復こそが、吐き気や過緊張を根本から和らげる鍵です。
成長の機会としての「緊張」を理解するため
緊張は「挑戦している証」であり、挑戦によって生じる心理的負荷、身体的負荷への準備です。
コーチングでは「緊張を克服する」ではなく、緊張パフォーマンスに活かすという認識と手段を身につけられるように進めていきます。
あなたが今『試合前の吐き気』で悩んでいるのは選手として大きく成長するためのきっかけです。
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