今回の記事は、幼少期に結果を出していたアスリートが高校生以降に勝てなくなったという悩みを抱えているアスリートに向けた内容です。
これまで勝てていた相手に勝てないことで焦ったり、周囲からの評価を気にして「勝たなければ」という思いが強くなり、パフォーマンスが低下するということが起こります。
どんな競技でもこのような悩みを抱えたアスリートはいますが、記事では主にオープンスキルを用いて行う競技をイメージした表現を使っています。
「失敗できない」という意識がパフォーマンスを下げる4つの理由
子供のころから結果を出していたアスリートが、高校生や大学生になり、周囲の子たちの発達が追い付いてきてから思うように勝てなくなり悩むことがあります。
この時に大切なのは、「実力的には勝てるはず」という過去の結果をもとにした自己評価を止めること。
幼少期から勝ってきたことで、「今まで勝ってきた相手に負けたくない」「周囲は勝てると思っている中で負けるのは恥ずかしい」という思いが働くと挑戦心は弱くなっていきます。
挑戦心が弱まることによって脳にはパフォーマンスを下げてしまう働きが生じてしまいます。
委縮を生み出す脳のエラー回避モード
上記のような発想は、「失敗しないようにしなければ」という発想を生みパフォーマンスを低下させます。
イメージをするなら、平均台の上を落ちないように歩く状態で、落ちるという失敗をしないように体がスピードを抑え、大胆な動きも出さないようになりますが、このような脳の働きが試合中に起きるようになってしまいます。
本来、アスリートが何度も練習して獲得した動作は、大脳基底核×小脳のループで自動化されます。
ほぼ無意識で必要な時に必要な動きを再現できるようになるということです。
「失敗しないように」という思考は、前頭前野(自己監視)を強く働かせ、動きを逐一チェックする“過度の管理”を引き起こし、これによって筋出力の低下、可動域の縮こまり、タイミングのズレという問題が発生します。
過度な防衛反応
失敗を意識しすぎると脳は脅威を感じます。
前頭前野や脅威を感じて生じる不安や恐怖を制御できないと、呼吸が浅く早くなる、体温が上がりにくくなる、視野が狭くなるということが起きて、勝負所で決断ができなくなってしまいます。
過度な防衛反応は、戦うことに対して望ましくない心身の状態を作ってしまうのです。
自動化の喪失
練習を重ねてきて熟達した動作は自動化され、無意識に適したタイミングや強度で発揮することができます。
しかし、「失敗しないように」という思いが強くなると自動化されていた動作を意識して行おうという気持ちが強くなりパフォーマンスが低下するのです。
これは意識が自分の動作に向くという「内的焦点」が強まった状態で、良いパフォーマンスは相手やボールの動き、距離感、相手の心理などに向くという「外的焦点」が優位になっている時に発揮できます。
正確性を優先してスピードが落ちる
「失敗しないように」という気持ちは丁寧な動作を行おうという心理を生むので、正確性を優先してスピードが低下することにつながります。
勝敗を分ける要素として、もちろん正確性も必要ですが、正確性を求めるあまり過度にスピードが低下すれば勝つことはできません。
「失敗できない」という発想ではなく挑戦心を高める
子供の頃に勝っていた相手に勝てなくなっていると悩んでいる人は、「幼少期の結果は今の実力を保証するものではない」という発想に切り替え、試合をする以上は毎回“挑戦する”という意識で取り組むようになることが大切です。
子供の頃から勝ってきた人は、周囲から勝手に「今回も勝つだろう」と思われ、その期待を気にしすぎて「失敗しないように」という気持ちが強くなっている傾向を感じます。
周囲からの声ではなく、自分の感覚で現状の相手の強さ、試合の難しさを感じて、そこに挑戦していく気持ちを育てていくことが本当の意味で自分の実力を発揮するために必要なのです。
挑戦心が高まると、無理に不安や恐怖を抑制しようという意識が低下し、反対に明確な意図の実行ができるようになります。
過去のことや周囲の声という試合中に体験する現実とは関係のないことを切り離し、現実に対して何をどう実行するかという意図を強めることを意識した練習を普段から心掛けることが挑戦心を持って試合ができるようになるため準備となります。
本来試合というものは今現在の力を試し合うものであるため、過去や周囲の声が入る余地のない世界です。
その世界に没頭することを意識した練習を普段から積み重ねてください。
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