今回は、剣道で手元を上げる癖を克服するために必要なこととトレーニング方法について書いてみたいと思います。

剣道では、相手に責められたり、攻撃の体勢を取られると、打たれると危機から逃れるために無意識で防御姿勢に入ってしまうことがあります。
この動きは、本来は相手に向かって竹刀の先を向けて構えている状態から、自分の面を守ろうとして相手から竹刀で自分の面を隠す動作です。

そのため、どうしても面は守れても小手が相手にとって打ちやすい状態になってしまうため、そこを打たれて負けることもありますし、実際に強い選手はその場面に正確に小手を打ってきます。

剣道では、旺盛な気迫で相手を攻めるということが重要だと教えられますが、その理由の一つが上記の防御姿勢が一部の人だけに該当することではなく、多くの人が無意識にとってしまう防御姿勢であり、その姿勢が生じないようにするためには、心身ともに相手を攻めていることが必要だからです。

 

防御反射と防御姿勢

では、なぜ無意識に取ってしまう防御姿勢が表れないようにするためには、旺盛な気迫と攻めが重要かということを『防御反射』という観点から説明したいと思います。

人間にとって危険を察知したらできる限り素早く対処できることが望ましく、人間の体は皮膚に刺激を受けた時に、脳にその刺激を伝える前に刺激から体を遠ざけるという動きをするようにできています。
この際に刺激から体を遠ざける動作を屈曲運動といいます。
わかりやすいのは、熱いものを熱いと知らずに触った時に思わず腕を引っ込める動作です。

上記の剣道の防御姿勢はもちろん、ボクシングの防御姿勢なども腕を曲げて自分を守るという形をとりますが、意図的に自分を守ろうと防御姿勢をとる場合もありますが、もともと人間の体に備わった防衛反射が作用して防御姿勢をとることもあります。

過剰な防御反射を抑えるための気迫

防御反射は、そもそも自分を守るために備わっている体の働きなので、剣道をしている時でも防御反射の力で危機を回避できることもあります。

しかし、剣道は打突部位が4つあるので、完璧に剣道における危険を回避できる防御姿勢はありません。
相手の動きや相手を強いと思い込みすぎることで、過剰な防御反射が働いてしまうと無意識に体が自分を守ろうとして、相手に剣先を向けて構えておくことができなくなってしまいます。

 

そのため、剣道では、不必要な防御反射が出ないように自分の心を強く保っておくためにも気迫が必要だと言われています。
おどおど、びくびくしていては、当然相手のちょっとした動きに防衛反射が出てしまうので、簡単に小手がガラ空きになり打たれてしまうからです。

防御姿勢を取ること自体が問題なのではなく、どういう心理状態で防御姿勢をとったのかということが重要です。

不安や恐怖がある状態で防御姿勢をとると動きが止まってしまいますが、心に余裕のある状態で防御姿勢をとれば、相手の技を返して打つこともできるので、気迫によって心に余裕を生んだ状態で稽古をする習慣を作ることが大切だと思います。

 

攻防一致

剣道には攻防一致という言葉があります。
剣道をしていると、昔の人は、心理学的にも説明ができる大切な教えをたくさん残して下さっていると感じますが、これもその一つです。

上記の手元を上げるという行為は、自分を守るための動作ですが、守ることだけを目的として防御姿勢をとると足が止まって、手も臨機応変に動きませんが、目的はせめて打つことであり、そのための手段として守るという動作をとっていると、一瞬手元が上がったとしても相手の動きに対応できる可能性が高くなります。

先日の七段戦を見ていてそれを実感しましたが、トップレベルの選手たちは攻める意識、一本を取るという思いが強いため、まさに勝つために手段としての防御だと感じる動きが多々見られました。

このような記事を書いている私自身も、しっかりと書いたことを実践していきたいと思います。

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