アスリートの心は決して強くない
アスリートが、うつ、不安症、依存症などのメンタル不全になっているというニュースが流れると、「心の強いアスリートがなぜ」というようなテロップが出たり、コメンテーターがそのような発言をしている場面を見かけますが、私はアスリートだからと言って特別に心が強いわけではないと思っています。
この記事は、アスリートが無理に心を強くあろうとして心のバランスを崩さないために知っておいていただきたいことを書いています。
ストレスの影響を受ける心
私たちの心の状態は、ストレスによってダメージを受けて、そのダメージが心の病として表面化します。
厳密には、ストレスが脳の働きの影響を与えて、それが精神の異常、身体の異常、行動の異常という形で表面化したものが心の病です。
下記には、3つの以上の事例を取り上げています。
精神の異常
うつ 、 不安障害 、 パニック発作 、不眠、ヒステリー、 物忘れや記憶の錯誤 、イライラ、孤独感や無力感 、など
身体の異常
胃痛、アトピー、喘息、頭痛、手足の痺れ、円形脱毛症、自律神経失調症 、食欲不振、めまい など
行動の異常
摂食障害 、 ギャンブル依存 、 買い物依存 、 性犯罪 、 万引き 、 不登校 、 出社拒否 、暴力、爪噛み、抜毛、 など
ストレスを避けることは難しい
ストレスとは、何らかの刺激を受けて脳がダメージを負った状態のことです。
この何らかの刺激とは、アスリートならケガなどの不慮の出来事、試合前のプレッシャー、試合の結果、思うようにいかない練習などがありますが、他人からの言動などもストレスが蓄積する要因です。
スポーツは、成果が勝敗として明確に出て、自分が挑戦しているレベルが高いほど勝つことは困難になりストレスも大きくなります。
また試合の選手に選ばれない、ケガをするということもあります。
このようなアスリート特有のストレスもあれば、日常の人間関係のストレスもあるでしょう。
その上、アスリートとして有名になるほど多くの人から注目され、それが喜びや活力になることもある反面、心無い誹謗中傷を受けて心にダメージを負うこともあります。
上記のようなストレス要因は避けることは難しく、できることは発生したストレスを長期化させないように対処することです。
どうしてもストレスとなる刺激は受けてしまうので、アスリートはストレスをはね返えすことができているわけではないと思っておいた方が良いでしょう。
大切なことは心のバランスを保つこと
アスリートは、高いレベルや理想を求めるほど多くのストレスとなる刺激を受ける環境で活動していると思っておいた方が良いと思っています。
上記にも書いたように競技としてスポーツをするからこそ生まれるストレスもあれば、自分の認知度が高まるほど増えるストレスもあるからです。
特に競技レベルが高くなるほど、競技をする上で感じるプレッシャーは強くなります。
自分が求める結果、他人からの期待、そして多くの人に認知されることなど、すべての要素から受ける刺激が強くなるのです。
実際にトップアスリートと接していると、メンタル不全になってもおかしくないストレスの中で試合で高いパフォーマンスを発揮するという、ストレスと心の健康に関してぎりぎりのバランスを保って活動している人達だということを感じさせられます。
アスリートのメンタル不全
アスリートが競技生活の中で保っている心のバランスが崩れるとメンタル不全を起こします。
うつや不安症、不眠、イライラや孤独感の増加、頭痛やめまいなどの体調不良、大きな大会の後などに起こりやすい燃え尽き症候群などになることがあるのです。
また、不適切な形で心のバランスを取ろうとする方法が依存症です。
アスリートの中には摂食障害やギャンブル依存症になっている人もいますし、性依存症の人もいます。
依存行動によって心のバランスを保って競技生活を続けると、どこかでその行動のつけが回ってきて人生を狂わすことになるので、依存行動で心のバランスを取ることは避けなければなりません。
心のバランスを取る方法
ストレスを抱えやすいアスリートにとって大切なことは、適切な心のバランスを取る方法を身につけておくことです。
その方法としてお勧めするのが下記のようなものです。
- 気晴らしをする(方法と頻度を考え健全なものを選択)
- 本音を聴いてもらえる友人、仲間を作る
- 時にはじっくり休息をとる
- 定期的にコーチングを受けて心の整理をする
アスリートは、ストレスの原因となる刺激を受けやすい環境で活動するということを前提としてストレスケアを習慣化して頂くことが望ましいと言えます。
ストレスケアを意図的に習慣化するために、ストレスが蓄積する前に上記の4つの方法を計画して下さい。
ストレスが蓄積してしまってからは、もう心身に不調が表れてしまっていたり、依存症となってしまう方法を選択する可能性が高くなるので、ストレスケアは計画的に習慣化していくことが大切なのです。
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