自分の試合を振り返る時、一つの行動を起こすときの心境がどうだったかを考えてみることで、どういう心理状態が結果に影響したかを推測できます。
スポーツの試合では、練習では表れない情動が表れて、いつも通りのパフォーマンスができないということが起きたり、反対にいつも以上のパフォーマンスを発揮することがあるので、自分の試合を振り変える際に試合中にどんな情動が生じていたかを確認すれば、次の試合の参考になるでしょう。
情動と感情の違い
情動というのは、一時的で急激に引き起こされた感情と定義されていて、長期的に自覚できる感情とは区別されています。
脳が刺激を受けたことで引き起こされる反応であり、まだその反応に思考が関与していない認知されたばかりのものが情動であり、競技をしている中では、頻繁に心の中で生まれているものです。
例えば、試合中ミスをした瞬間に生じる焦り、危機を感じた瞬間に生じる恐怖、試合展開から感じる不安など情動です。
情動は、刺激に対して急激に引き起こされるということは、その発生自体を止めることは難しいということです。
焦り、恐怖、不安などを感じてしまうことは仕方がないことで、それが発生すること自体が、メンタルが弱いということではありません。
しかし、自分の心の中で生まれた焦り、恐怖、不安に囚われてしまうと目の前のことに集中することが難しくなり、パフォーマンスが低下してしまいます。
情動の分析
試合の中では、さまざまな情動が発生しているはずですが、これはその後の試合のパフォーマンスを上げるための重要な材料となります。
情動自体は一時的なものなのですが、焦り、恐怖、不安が発生したことによって、
『負けたらどうしよう』、『早く試合が終わってほしい』
という思考が生まれて、その思考から目の前のことに意識を切り換えることができないという状態が、心が囚われた状態です。
情動の発生自体に問題があるのではなく、情動に心が囚われることが問題なので、試合前、試合中に自分が何を感じていたのかを振り返り分析することが大切です。
好ましくない結果が出た試合なら、試合前と試合中に何を感じたのか、良い結果が出た試合も、試合前と試合中に何を感じていたのかを分析していくことで、自分がどのような感覚を持っている時に良い結果がでたり、納得のいくパフォーマンスができているのかを知ることができます。
コーチングの中でも試合中の常道の分析を行うことがありますが、そこから得られる気づきは今度の課題を明確にしてくれます。
情動とメンタルコントロール
情動の中には、緊張、興奮、歓喜なども含まれます。
詳しくは別の機会で説明しますが、緊張は、スポーツにおいては闘うための心身の準備であり、興奮はリスクを伴う場合でも躊躇なく行動するために必要な心理作用であり、歓喜は試合前に感じる場合は、その場に立てたこと、望む相手と試合ができることへの喜びです。
これらの情動は、上手くコントロールすることで高いパフォーマンスを発揮する原動力となります。
試合前に情動が発生するということは、リラックスしている日常とは違う感覚になるため、その違いへの戸惑いが発生することがありますが、情動をじっくりと感じると、それは自分のパフォーマンスを十分に発揮するために必要なものであることに気づけます。
普段から、試合の結果とその前に発生した情動を記録しておくことで、どのような情動が生まれている時が高いパフォーマンスが発揮できるのか、どのような情動であれば試合前に払拭しておく必要があるのかということがわかってくるので、試合前のメンタルコントロールもしやすくなります。
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