今回は、私のLINE公式アカウントに登録してくださっている方からの質問に対する返答です。
質問者の情報を守るため、質問の内容は必要な部分だけを公開しています。

上手く集中することが出来ない

質問の内容

Q.試合前に集中力を高めたいが、上手く高めることが出来ていないような気がするので、集中力を高める方法が知りたい。

A.集中と一言で言っても、競技によってどんな集中の仕方が望ましいかは違いがあるので、自分のやっている競技特性に合わせた集中状態の作り方をみにつけることが必要だと思います。
その一例は下記のとおりです。

集中するために提案している方法

私がアスリートに集中するために提案している方法は以下の2つです。

ビジョントレーニング

人間は眼球運動が活発になると脳が目の前で目で確認する必要のある事態が起きていると認識します。
目を動かすスピードが速いほど、脳は高度な情報処理能力が必要だと判断して活発な働きをするようになります。
ビジョントレーニングは、目の動きによって脳を刺激して情報処理能力を高める方法なのです。

また、スポーツは不安感が強いとパフォーマンスが低下する傾向があるのですが、思考の働きに対して感覚の働きが弱いと不安感が強くなってしまいます。
五感からしっかりと情報を得ることが出来るように、感覚を研ぎ澄ますことで脳は外部からの情報を得ることが出来て安心します。
ビジョントレーニングは、余計な不安を振り払って『今』に集中するために手段なのです。

メンタルトレーニングとしてのビジョントレーニング

呼吸法

呼吸は、自律神経の働きを調整する効果があり、気持ちを落ち着かせる、集中力や闘争心を高めるために適したメンタルコントロールの方法が呼吸法です。

呼吸法は、ビジョントレーニングで脳の情報処理の力を高めた後に行うといいでしょう。
ビジョントレーニングは、脳が周囲の情報をキャッチする能力が高まっていますが、競技によって意識の焦点を合わせる対象が違うので、呼吸法を行いながら競技に適した集中状態を作って下さい。

試合前の緊張の仕方とタイプ別呼吸法

競技特性に合わせた集中状態

集中すると言っても競技によって意識を向ける対象が違うので、集中した時に何に意識を向けるのか、どの感覚を研ぎ澄ますのかという点に違いがあります。

球技に適した集中状態

球技の場合は、相手の動きとボールの動きを予測する必要があるので、意識は相手の動きとボールの軌道に向ける必要があります。
競技によって差はありますが、視野は比較的広い状態が保たれていることが望ましいので、ビジョントレーニングによって広がった視野を維持するイメージでいいかと思います。
あとは、一人に意識を向けておけばいいのか、同時に複数の人の動きを把握する必要があるのかが競技によって違いがあり、必要な視野の広さもそれによって違ってきます。

球技の性質上、流れが止まる場面も多いので、上手く集中力の強さをコントロールすることが試合中の集中力の維持につながると思います。

試合中は、競技に適した視野の広さの維持が重要で、集中力の維持と視野の広さが維持が連動させることが求められます。

武道や格闘技に適した集中状態

武道や格闘技は、相手の素早い動きに瞬時に反応して攻防を繰り返すという特徴があるので、直感で反応して動くことのできる状態を作っておくことが大切です。
感覚は、視覚、聴覚、触覚の3つが研ぎ澄まされていることが求められます。

視野に関しては、球技のような広さは求められませんが、相手の動き全体を把握すること、距離感を把握することが重要になります。
視野が相手の体や道具などの一部に偏ってしまうと、相手の攻撃を受けやすくなるので、相手の全身と相手との距離を把握できている状態と集中力の高さが連動させておくことが必要になります。

陸上競技に適した集中状態

陸上競技は、競技特性が種目によって全く違うので、種目に合わせた理想的な集中状態を把握する必要があります。

スプリント競技なら、スタートが重要になるので集中している時に聴覚を研ぎ澄まされていることが必要ですが、視野に関しては広さは求められません。
視野は、どこに視野を向けておくかによってスタートや走る姿勢に影響は出るので、自分の体がスムーズに動く視野の置き所を分かっていればいいかと思います。

跳躍や投擲などの自分のタイミングで動き出せる競技は、感覚を研ぎ澄ますという状態よりも自分の体が効率よくエネルギーを跳躍や投擲に活かせる状態かという点に意識が向いておく必要があるように思います。

中長距離走は、集中力の強弱をコントロールすることや意識が自分自身の体の状態に向いている必要があると思います。
距離が長くなるほど、どの時点でどんな走り方をするかを判断するためには他の選手のことよりも自分の状態を把握することの方が重要になると思います。

ゴルフ、ボーリング、アーチェリーなどの集中状態

ゴルフ、ボーリング、アーチェリーなどの共通点は、自分のペースで動き出すという点やパフォーマンスを誰かに邪魔されないという点です。
そのため、自分の精神の落ち着きと意識の焦点が何に合っているかという点と集中力が連動していることが望ましいと思います。

これらの競技でパフォーマンスが低下する時は、自分のフォームを意識しすぎていたり、ミスをしないかという思考が働いている時なので、ボールや矢の軌道を強くイメージして下さい。
集中力をパフォーマンスが成功するイメージ作りに使うことが大切だと思います。

フィギュアスケート、ダンスなどの集中状態

フィギュアスケートやダンスなど、音楽に合わせてパフォーマンスをする競技は、自分の表現世界観の中に入ってパフォーマンスに没頭するような感覚が必要なのではないかと思います。
良い表現ができている時は、審査員や観客から “見られれている” ということは自覚しながらも、意識は音楽に向いていて、周囲の目は気にならない状態であると思われます。

集中している時は、聴覚が優位になり、体全体で音楽を受け止めることができていると考えられます。

まとめ

競技特性に合わせた集中力の高め方は、これまで各競技のアスリートから聴いた話と私の想像を交えながら書いたものです。
実際には、競技をしている人が自分が集中できている時の感覚を一番よく知っていると思うので、過去の良いパフォーマンスを思い出してその時の集中状態を再現することを目指してみて下さい。
集中している状態がどんな状態かよくわかっていないという場合は、上記の内容を手掛かりに集中力を高める方法を実践してみて下さい。

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