前回の記事では、経験よりも体験が大切だということを書きました。
経験は客観的なものであるのに対して、体験は主観的でその人独自の感覚であるため、出来事を体験として記憶しておくことが自尊心を高めてくれたり、安心感を生むのです。
コーチングをしていても、アスリートによって経験を語る人もいれば、体験を語る人もいます。
経験を語る人の話は、情報として興味はあっても臨場感は少なく、その話の中に引き込まれにくいのですが、体験を語る人の話は、臨場感があってどんどん話に引き込まれていきます。
では、その違いがどうして生じるのかというと、それは幼いころから体験を語る機会があったかどうかだと思います。
子供のころ、私達は両親にいろんな話をしていたと思うのですが、その話に興味を持って聴いてくれ、体験に焦点を当てた質問をしてもらっている人ほど、体験を語る機会は多くなります。
親の聴く姿勢によって、体験を語る習慣が小さいころからあった子供は大人になっても体験を語ることが上手くなる傾向が強いように感じます。
実際に、体験を語ることが上手い人は、親との関係が良好であり、子供のころにも年齢に合わせて尊厳を大切にしてもらって育ったということが感じられます。
反対に、体験を語ることが苦手な人は、出来事と結果の身に焦点を当てた味気ない会話をしていたことが多く、親に話をすることが面倒だと感じたり、楽しさを感じていない傾向が強いと思います。
スポーツなら、親から結果を厳しく追及されながら続けてきた方は、中高生になってコーチングに来た時には体験を話すことが苦手になっている傾向があると感じられるのです。
最初は、中高生なので恥ずかしがっているのかと感じていたのですが、中高生でも自分の体験を活き活きと語る子がいるので、その違いをよく観察していると親子関係に違いが見受けられるのです。
中高生は、はじめは恥ずかしがっていたり警戒していたりするのですが、こちらが質問をしていくと体験をうまく語る子は、言葉は少ないながらも臨場感が感じられる話をしてくれます。
もちろん、ご本人の性格傾向もあるので、一概に親子関係だけが原因ではないのですが、子供の頃は親と過ごす時間が多いので影響があることは事実です。
同様に、小中学生のころは、同じ指導者に長い間教えてもらうことの多い競技もあるので、その場合は指導者の関わり方も大きく影響しています。
厳しい指導をしつつも、子供との関わり合いの中で本人の感覚を言葉にさせ、本人の体験を尊重して指導の方向性を考えていく指導者は、子供の体験を自覚する力を養うことが上手いと感じます。
そうやって体験を内面を豊かにしていくということは、アスリートとして活動していくためのメンタル力を養っていることにもなります。
メンタルトレーナーという存在もアスリートの助けになりますが、日ごろから接することの多い親御様や指導者は子供のメンタル力を高めてあげることのできる存在なので、是非、子供に練習や試合の体験を思い出して言葉にする機会を与えるような質問を日ごろから心がけて頂ければと思います。
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