緊張とは何か

アスリートがパフォーマンスを発揮するためには、緊張の克服ということが課題となります。
メンタルトレーニングも、緊張をコントロールして力を発揮するための手段であるため、メンタルトレーニングについて説明をする前に緊張について詳しく説明したいと思います。

緊張は闘うために必要なもの

緊張とは、ストレスを受けて脳に生じた闘争(逃走)反応です。

原始時代、人間は生きていくために身の危険を感じた時に、瞬時に体が闘う、または逃げるための準備ができるようになりました。

例えば、肉食動物に出会った時、命の危険というストレスに脳が反応して心臓が高鳴る、汗ばむ、呼吸が荒くなるなど、瞬時に戦う、逃げるという行動ができる状態になります。

このストレスに対する脳の反応、それに伴う体の変化を『緊張』といいます。
緊張は、闘う、もしくは逃げるという通常よりも運動能力を高める必要のある行動の準備なので、スポーツにおいても必要不可欠なものなのです。

試合前などには、「緊張するな」、「緊張してるのか?」と言われることがあると思いますが、緊張は試合をすることを意識したら起こるし、自分の力を出し切るために必要なものなので、アスリートとして受け入れてコントロールできる力を身につけることが大切です。

緊張しないアスリート

いつも緊張してしまうという自覚のあるアスリートがいる反面、自分は緊張しないというアスリートもいます。
しかし、緊張がストレスを受けた人間に生じる闘争反応であれば、試合を控えて緊張しないということはありません。
緊張していないと良いパフォーマンスが出せないからです。

では、緊張しないアスリートは何が違うかというと、緊張によって生じる体の反応を不快だと思わないという点だと思います。
緊張していると自覚しているアスリートは、緊張によって生じる体の反応を少なからず不快だと思っていて、この不快感が緊張はしない方がいいという認識になった要因だと思います。

不快な緊張

英語では、不快な緊張と快い緊張は、違う単語で表現されます。

英語では、悪い緊張のことを『Nervous』といいますが、これは不安や恐怖で神経が高ぶり、イライラしやすくなっていたり、悪い予測ばかりしてしまう状態です。

あなたが緊張することが良くないものだと感じているのは、緊張しているという自覚がある時にパフォーマンスが良くなかったという体験があるからではないでしょうか。

実際に緊張していると感じて、パフォーマンスが思うように発揮できなかったということは多くの方が体験していて、試合前には緊張していない方が良いと思っていると思われます。

このような体験が起きる理由は、緊張の中でも『過緊張』という状態になっている可能性があります。
簡単に言うと緊張のし過ぎです。

人間の脳は、自分の命を守ることを最優先にするので、試合前に緊張しはじめて不安が大きくなり、悪い結果ばかり予測し始めると無意識に自分を守ろうとしてしまいます。

スポーツでは、体が縮こまり防御の体制を取りやすくしておこうとしたり、汗が出すぎ、呼吸は浅くなるというようなことが起きてしまうのです。
これは緊張したから起きることではなく、緊張をコントロールできないから起きることなのです。

快い緊張

反対に快い緊張とはどのような状態なのでしょうか。

良い緊張は、英語では『Excited』と言いますが、これは興奮する、ワクワクするという状態を表す単語です。

快い緊張とは、試合という刺激によって体は緊張状態になっていても、呼吸が落ち着いていて、頭は冴えている、そして試合を行うことへの期待感のようなものが心の中にある状態です。

試合という刺激がある以上、闘争反応は生まれるので、体も自然と試合ができる緊張状態になろうとしますが、不安や恐怖は抑えられていて、冷静に試合をすることを楽しみに感じている心境もあることが感じられているような状態です。

緊張とメンタル強化の取り組み

アスリートがコーチングを受けたり、メンタルトレーニングを行うのは、緊張という脳の自然な働きをパフォーマンスに活かすことが出来るようになるためです。

緊張に関する正しい知識を持つこと、競技に対する意識を高めることで、不快な緊張よりも試合という挑戦にワクワクする緊張を生み出せるようになったり、不快な緊張が生じても落ち着かせることが出来るようになるため、メンタル強化に取り組んで頂けれ場と思います。