感情が競技生活を左右する

感情は、人が他人やものごとに対して抱く心の状態で、情動も含みます。

発生が急で一時的な心の作用であり、生じたことに無自覚であることも多い情動と情動を認知することによって長期的に心の中に存在して、喜び、悲しみ、恐れ、怒り、快楽、愛着、嫌悪などと分類できるものなどを感情といいます。

今回は、一時的な情動ではなく長期的に続く方の感情について触れたいと思います。

情動は一時的に発生するもので、どちらかといえば試合中にパフォーマンスに影響を与えるものとして取り上げましたが、長期的に続く感情は目的達成に向けての取り組み、モチベーションなどに影響するものとしてアスリートのコーチングの中では取り上げています。

【プラスの感情が生じた時】
私たちは、安心感、高揚感、達成感、信頼感、幸福感、感謝などを持って生活ができている時は、行動も活発になり、周囲の人とも良い関係が築けます。

練習においても、創意工夫をして意欲的に取り組むことができたり、新しいこと難しいことにもチャレンジして、自分を高めていくことができます。

試合においては、緊張感と一緒に期待感や挑戦心を持って臨むことができ、実際に良いパフォーマンスを発揮できる可能性も高くなります。

【マイナスの感情が生じた時】
反対に、不安感、怒り、嫌悪感、不信感、失望感、恐怖感、自責感などが継続していると行動力が低下したり、周囲の人との安定した関係の構築が困難にあり、他人との関係が悪化してしまいます。

練習においては、ただ与えられたメニューを消化するだけの日々が続いたり、練習をすることによる自己成長への期待を持てなくなること、ケガをしやすくなることなど弊害が生まれます。

試合においては、集中力や反応力の低下、相手の実力を誇大化したり、自分の実力を過小評価する、チームメイトの連携の乱れが生じるなどによってパフォーマンスが低下してしまいます。

感情を見つめる力

上記のように感情が、練習や試合に影響して思うような結果が出せない、実力が発揮できないということがあることは、競技をする上でも指導をする上でも、多くの方が体験しておられることだと思います。

そのため、感情のコントロールができるということが大切であることはメンタルトレーナーでなくてもわかっていることであり、マイナスの感情が強くなっている時は、プラスの感情に変化させようと取り組む人も多いのではないかと思いますが、感情を変えることは容易ではないので、上手くコントロールできないという体験をしたことがあるのではないでしょうか。

競技生活の中で、マイナス感情が生じている時には、その感情を無理にプラス感情に変えようとしたり、打ち消そうとすることは好ましい方法ではありません。
それは、感情の発生自体をコントロールできるものではないからです。
マイナス感情が生じるのも理由があり、プラス感情が生じるのも理由があります。
そのため、意識的にプラス感情になろうとしてなれるものではありません。

大切なことは、今ある感情をじっくりと感じて受け止めることです。
自分がどのような感情を持っていても、いったんその状態であることを自分自身が認めてあげることが大切です。

人間の思考と行動は、マイナス感情が強いから不適切なものになるのではなく、マイナス感情を持っていることを他人のせいだと思っていたり、人が自分のマイナス感情を癒すべきだと思っていたり、マイナス感情によって自分を卑下したりしている時に不適切なものになります。

マイナス感情があっても、それがある現実を受け止めて、その感情が弱くなっていくことを待ってあげること、その感情を持っている自分を責めないこと、その感情が生じたことで過度に他人を責めないことが自分の行動を安定させるコツです。

感情とメンタルコントロール

感情をコントロールするということは、決して急激に別の感情を生み出そうとすることや今ある感情を打ち消そうとすることではなく、今ある感情を受け止めつつ、その感情が不適切な思考や行動を生み出さないように自分の中で時間をかけて治めていくことです。

また、プラスの感情が強くなっている時も、その感情で自己評価が高くなりすぎたり、行動が極端になり練習でオーバーワークになることがないように、急激な感情の変化で思考や行動まで急激な変化をしないように適切な思考と行動の習慣を日ごろから確立しておくことが大切です。

上記のことからもわかるように感情のコントロールというのは、感情が生じた時にいきなりできるものではなく、日ごろから思考と行動を安定させる取り組みを継続していることによって、急激な感情の変化が起きても、思考や行動が感情の影響を受けにくくなっている状態こそが、感情をコントロールできている状態と言えるのです。

 

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